先週米中貿易協議で大幅関税引き下げが合意となり、目先の安心感が広がりドル円相場が一時148円まで上昇していましたが、16日にムーディーズが米国を格下げしたことで米財政懸念でドル売りが進み一転して財政不安のリスクオフムードが強まったのが今週の動きでした。格下げのインパクトは一瞬だったように思えますが、結局財政懸念が強まっていることで債券利回りが上昇し、債券利回りが上がっているのにドルは売られるという、株売り、ドル売りの「アメリカ売り」が強まっています。
横尾寧子のFXのはじめかた
「裏」で要求があるのか2025.05.23
米中合意で豪に利下げ期待後退2025.05.16
今年の5月相場は意外にも米中貿易協議で「90日間の関税率大幅引き下げで合意」の発表を受けて株高、ドル高のリスクオン相場になりました。ドル円相場は4月22日の139円台から148円台まで上伸しましたが、貿易戦争の緩和期待への買いが一服したところで、次の目線は日米交渉への期待へと移って146円台まで一目均衡表の雲の下限を沿うように値を消しています。
14日に韓国政府関係者がアメリカと5日にウォン相場について協議したという発言を受けて、対韓国ウォンでドルが急落し、円相場も連れ安してドル売りとなりました。来週行われると報じられている日米交渉で円安是正の動きがあるのではないかという思惑が高まってきています。米側はドル安政策を貿易交渉の一部にしないとしていますが、ひっくり返しあうのが今のトランプ政権ですから真に受けられません。むしろ円安是正を求めてくることへの警戒が根強く、押し目買いより戻り売り目線ですが、あくまで短期一択です。
利上げ遠のく日本、利下げ遠のくアメリカ2025.05.09
引き下げ発言に急騰も懐疑的2025.04.25
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ドル安、ユーロ急伸続く2025.04.18
16日、米パウエル議長による「米政権の関税措置による経済への影響は予想を大幅に上回る」という発言を受けた早期利下げ期待後退による米株売りのリスクオフの流れを受けて、ドル円は一時141円台まで急落しました。141円台を付けたのは、昨年9月30日以来です。
その後は日米関税交渉への警戒も強まっていましたが、その関税交渉で最も警戒された為替相場について「今回は為替の議論は無かった」と報じられ、一旦安心感から142円台まで買い戻されています。為替については引き続き次回(月内)の交渉の席で取り沙汰されるというのが大勢ですが、現在の140円台も恐らく高く、まずは120-130円台を求められるのではないかという見通しが強いです。(ちなみに第一次トランプ政権の時は110円前後で長期間推移)
米中関税チキンレースを考えても仕方がない2025.04.11
金融市場に主体性のない乱高下続いていますので、振り回されてちょっとケガされた方もいらっしゃるかもしれません。2017年当時のトランプ大統領の第1期の当時も、こうしたトランプ砲に振り回されることがありましたが、今回は威力が違いますね。こうしたことに対して何かを想定しても意味がありませんから、今の動きに理由付けするよりも、今後予定される事柄について考えていきます。
今週波乱相場の最中に5会合連続の利下げを決めたNZは、政策金利は3.5%まで引き下げられました。まだまだ追加利下げ示唆ですから、発表後の動きもさえないものでしたが、直近の金融市場総反発を受けて買い戻されています。ただ、NZドルは通貨安、インフレ対応、関税政策対策を進めていますので、基本スタンスは下げ基調と考えています。過去20年のNZドル円の月足チャートで見ると、天井圏からの下げ基調は何度かありました。2007年の高値からの急落はリーマンショックを挟んだこともあり非常に大きなもので、約2年で54%の下落となりましたが、2014年の高値からの下げは37%の下落、途中の2017年の戻り高値からの下げであれば」29%の下落と、比較的下げトレンドが強まった時は一方通行的な動きになりやすいのがNZドルの特徴です。
最大の関税砲が発せられる2025.04.04
今月のトランプ関税砲、特に最大に重い関税政策が発せられたことで、4月3日のアジアの金融市場は軒並み大幅安でスタートしました。
全ての輸入品に対し一律10%の関税を課す。
各国の関税および非関税障壁を考慮し、国・地域別に税率を上乗せしている。
日本が24%
中国が34%(中国は20%の税率に34%が上乗
せされるので、54%)
欧州連合(EU)が20%
英国が10%
米個人消費の動向と新興国に目配り2025.03.28
月末恒例の翌月に向けた新たなトランプ関税砲が今月も発動されました。4月から輸入自動車に対して25%の関税を発動します。現行は2.5%ですから10倍の関税となることから、このところ堅調に戻していた株式市場はリスクオフの売りとなりました。ただ、為替にはリスクオフの動きは見られません。ドル円相場は150円乗せて小動きになっており、次の動き待ちでやや小康状態です。今週は月末・年度末最終週ですから、そういった事情を加味すると今のドル円相場の動きが本来のものではなく、年度末に絡む特殊要因の可能性がありますから、今の動きに素直に乗らず、新年度入りしてからのトレンドを判断していきましょう。
ドイツの政策変更が引き続きユーロの追い風2025.03.21
3月19日、日銀が3月の金融政策決定会合で、0.5%の金利維持を決定しました。現状維持は事前予想通りで、発表時刻は11時25分とかなり早い時間の公表でした。2013年にアベノミクス相場が始まって以降、現在までの日銀の発表時刻(日銀が時刻公表をやめて以降は通信社速報時刻)を記録していますが、11時25分発表はこの12年間で最速でした。また今回の現状維持は全会一致、タカ派の田村審議委員が今回の決定に反対票を投じるかどうかが現状維持予想の中での注目点でしたが、反対意見もなく非常に穏やかに日銀イベント通過となりました。
貿易戦争強まる今、ユーロクロスでユーロ買いへ2025.03.14
先週からの流れを引き継ぎ、ユーロ急騰、ドル売りを背景にドル円相場も148円ミドルにあった下値のサポートを割り込んで、今週一気に146.53迄円高が進みました。直近は一旦円高の巻き戻しで148円台を付けていますが、21日がミリ下がりのレジスタンスとして機能していますので、近づいたら絶好の戻り売りポイントとの1つとして注視しています。
来週はFOMCと日銀金融政策決定会合を控えていますから、神経質な動きになりそうです。FOMC、日銀共に今回は据え置き予想ですが、植田総裁は直近でも利上げスタンスについて理解を求めるコメントをしつつ、必要であれば追加買い入れも検討すると示唆し、マーケットとの会話を以前より慎重に行っている印象です。


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