6月13日に始まったイスラエルとイランとの戦争は、ここまでは予想通り何も起こらないままでした。今のところは2020年3月のコロナ暴落や23年3月に米銀が突然破綻した時と同じことになりました。もちろんまだ戦争は終わったわけではないので、突然何かが起きる可能性はあります。ロイター通信によると、ペルシャ湾でイラン軍の艦艇に機雷が積み込まれていることを米側も把握しているとのことで、ホルムズ海峡に不穏な動きがあることは念頭に置いておきましょう。
6月21日の東京セミナーで、ナスダック指数の強気シグナルを取り上げて、史上最高値を更新する可能性が大きいことを前提にする必要があると話しましたが、今週はついにナスダック指数は半年ぶり、SP500指数は4ヵ月ぶりに史上最高値を更新しました。これもセミナーで話した通りに的中したわけです。
さて、日経平均は6月30日に4万852円まで上昇して、昨年7月の史上最高値4万2426円に近づきましたが、その後は日米の関税交渉が暗礁に乗り上げて進まず、7月9日の延長期限までに交渉がまとまらない可能性が大きくなったことから、日経平均は7月2日の安値3万9444円まで急反落しました。7月2日時点ではチャートが壊れたわけではなく、上昇トレンドに変わりありませんが、もし交渉が期限切れでまとまらなかった場合は、米国側は日本に対して35%の関税をかけることが示唆されています。日本経済の屋台骨である自動車業界は大打撃を受けることになり、日本経済全体にとって由々しき事態になります。株式市場は交渉の行方を見守り、織り込みが難しく消化難ということも言えますが、果たしてぎりぎりで結着するか物別れになるか、最大の注目ポイントです。
今年前半の日経平均の月足陰陽は、陰陰陰陽陽陽(●●●〇〇〇)のパターンになりました。これは過去さかのぼると戦後たった1回、2017年しか例がありません。今年で2回目です。2017年は7月相場は陰線(●)でしたが、その年の年足は陽線(〇)で終わりました。
今年は日経平均の月足チャートを見ると今月は3ヵ月線と12ヵ月線がゴールデンクロスしてきました。前回は2023年3月末に2万8041円でゴールデンクロスして、そこから昨年7月の最高値4万2426円まで51%値上りの大きな上昇トレンドになっていきました。米株が史上最高値を更新してきたように、日経平均もチャート面からは強いシグナルが出てきています。それだけに関税交渉で安心感が取り戻されて一段高になってくれると良いのですが、石破政権がその期待を打ち砕いてしまうかどうか、7月9日に向けて緊張が高まります。
※当レポートは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋ものになります。