トランプ大統領が日本に25%の関税をかけることを通知しましたが、心配されていた35%の大幅な関税の上乗せは無く、8月1日まで猶予があるので交渉の推移を見守る空気です。
今年前半の日経平均の月足陰陽は、陰陰陰陽陽陽(●●●〇〇〇)のパターンになりました。これは過去さかのぼると戦後2017年しか例がありません。その2017年は7月相場は陰線●でした。
また直近の3ヵ月(4-6月)の月足を見ると、今年は3ヵ月連続陽線〇です。4-6月が3ヵ月連続陽線となった年は、戦後振り返ると15回ありました。その内7月相場は陽線〇7回、陰線●が8回ですから、4-6月が3ヵ月連続陽線になって期待を持たせても、それが7月に素直に引き継がれるわけではありません。ましてアベノミクス相場が始まって以降だけ見ると2017年、20年、23年の3回いずれも7月相場は陰線●であり、1980年以降でも実に2勝7敗で圧倒的に7月は陰線●ですから、今月の日本株は、全体としては過大な期待を持たない方がいいということを表しています。実際今月の日経平均の月足は11日時点では、やはり陰線●です。日本の10年国債の利回りは1ヵ月ぶりに1.5%台に上昇しており、長期金利の上昇も不気味な火種です。
とはいえ、日経平均の月足チャートを見ると今月は3ヵ月線と12ヵ月線がゴールデンクロスしてきました。前回は2023年3月末に2万8041円でゴールデンクロスして、そこから昨年7月の最高値4万2426円まで51%値上りの大きな上昇トレンドになっていきました。また昨年7月の史上最高値と12月の戻り高値を結んだ右下がりの上値抵抗ラインも6月相場で上に突破しましたので、月足チャートでは強い形になっています。これはTOPIXも同じです。
7月20日投票の参院選では、自民党の大敗が予想されています。本来は政治の混迷は株価にマイナスですが、2009年に自民党が選挙で大敗して民主党に政権交代した時に、日本株はむしろリーマンショックによる経済の閉塞を打開してほしいということで政権交代を歓迎する形で上げていきました。今回も元々日本の株式市場関係者や投資家は、昨年の自民党総裁選の時に「石破だけはダメだ」という見方が圧倒的だったので、むしろ参院選で自民党が大敗することを石破退陣期待相場として消化することも考えられます。
ただし、減税を求める声が圧倒的なので、参院選後に新たな内閣が誕生したとしても、減税=財政悪化の不安が高まり、日本の長期金利の上昇に歯止めが効かなくなると非常に厄介なことになります。また25%の関税を相殺するにはドル円が180円台まで円安にならなければなりませんが、そうなると国内のインフレは更にひどいことになります。こうした事も頭に入れておきましょう。
※当レポートは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋ものになります。