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ウイルスとの戦局変化を感じ取っている米株2020.04.17

 4月5日のさくらインベストのセミナーで話したことで、第二次大戦中のNYダウの動きを見ると、戦争が始まったのは1939年。終戦は1945年でしたが、NYダウはその戦争の真っただ中の1942年4月に大底を打って、以降は上昇トレンドに転換したことを前号でも書きました。株価は戦争に勝つのを待ってから上げていったのではなく、戦局の流れが変わったところをとらえて底打ちしたというのが重要なポイントであるということを、先週9日(木)のラジオ番組でも改めてお話ししました。

 直近ではロイター通信の集計によると、米国での1日当たりの新型コロナウイルス感染者数の平均増加率は、3月は前週比30%以上もの増加率でしたが、先週は7.8%、今週は5%増に鈍化してきました。また死者数の1日当たり平均増加率も3月は前週比30%増に達していましたが、先週は14%、今週は7%増に鈍化しています。NY州でのコロナウイルス感染による入院者数も初めて今週は2日連続で減少に転じてきました。こうしたことを受けてNY州のクオモ知事やトランプ大統領が「最悪の状況は過ぎた」と述べました。

 NYダウは3月23日の最安値1万8213ドルから4月14日の高値2万4040ドルまで上昇しましたが、これで2月12日の過去最高値2万9568ドルからの下げ幅の半値戻りを突破しました。ナスダック指数やSOX半導体株指数も同じです。したがって相場の世界では「半値戻りは全値戻り」と言われるように、米株は立ち直り局面に入ったことが確認されたと言えます。コロナウイルスの感染者や死者の伸びが鈍化してきたタイミングでの半値戻りは偶然とは言えないでしょう。市場はウイルスとの戦争での戦局変化を感じ取っていると思います。

 まずはブラックマンデーの時と同じように一気に相当なところまで下げて底打ちしました。

 あとは、まだ下げ止まり感が全く出ていない原油相場の行方が問題です。NYの原油相場は3月に一時20ドルを割り込みましたが、日足チャートではおおよそ19ドル台から20ドル前後で下値抵抗ラインを作った形になっていました。OPECプラスの減産も最終合意しましたが、今週は再び20ドルを割り込んできており、このまま18ドル台に入ってくると完全にサポートラインを下に放れることになります。世界最大の産油国である米国にとっては原油相場の下落が続くのは好ましくありませんので、これがまた株価の下押し波乱要因になる可能性がつきまといます。19ドル台をサポートラインとしてキープするか、底割れとなるかは短期的な注目ポイントですから、あとは原油相場の下げ止まり、大底打ち確認を待つという状況です。

※このコラムは毎週木曜発行の会員向けレポートから抜粋・追記したものになります。

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