前号の当コーナーでは「日経平均には昨年3月の大底以降で初めての悪い形が相次いで出ている。経験則からは5月は上昇が期待できるところだが、大きな変化があるかもしれない。まさに正念場であり、常在戦場の相場だ」と書いておきました。
案の定今週に入ってから日経平均はドカドカと下げて、13日に2万7300円台まで急落しました。この結果3月上旬から作られていた2万8300円台の下値抵抗ラインを割りこみ、ボックス下放れの形になってしまいました。これで日足チャートでは4日連続で100日線を下回り、週足チャートでは4週線と13週線のデッドクロスに続いて、26週線も下回りました。これら日足や週足チャートの変化はいずれも昨年3月の大底以降で初めての悪い形が次々に加わったわけです。
昨年12月のセミナーで「2021年の日経平均の高値の目安は3万100円~3万300円のところだ」と予想を示しましたが、2月16日にザラ場で3万714円まで値上がりしてピークアウトしています。それから3ヵ月経っても高値を抜くことが出来ずに崩れてきていますので、予想通りの形で日経平均はピークアウトしました。少なくともこの2月の3万714円が今年前半の最高値になったと思われますが、年間通しての最高値になる可能性も充分にあります。
その意味で注目されるのが日銀の動きです。今週11日に日経平均が1000円近く下げて、12日も一時700円以上の下げ、13日も699円安を見せましたが、日銀はETFの買いを入れませんでした。それはつまり量的緩和の縮小、いわゆるテーパリングを開始したと受け取れます。カナダに続いて日本もテーパリングを開始したわけですが、コロナ禍で経済の回復が遅れており、あろうことかまたしても緊急事態が宣言されているような状況で量的緩和を縮小するのが果たしてタイミングとして適切なのか。少なくとも株式市場にとっては梯子を外されて、下の支えが無くなったと言えます。
私は2月のセミナーで、「日経平均が3万円を回復してからは、日本固有の問題で株高のトレンドを崩される可能性があるので注意しよう」と警告しましたが、心配した通りの流れです。ですから、このままだと3万714円が今年の最高値になってしまう可能性はあるということになります。
とにかく日経平均はボックスを下に放れたので、今後さらなる一段安を警戒しましょう。
※このコラムは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。