日経平均は9月14日の最高値3万795円から10月6日の安値2万7293円まで突っ込みました。2009年7月以来の8日続落です。2000年以降でみると8日間で9.3%下げたのは、2007年11月に8日間で10.8%下げた時に次ぐ記録です。2009年の時の日経平均は7月末の終値1万356円から翌8月の高値1万767円まで上げましたが、そこからは12月の安値9233円まで大きく下げました。また2007年の時は11月末の終値1万5680円から2008年3月の安値1万1691円まで暴落していきました。
自民党総裁選で岸田氏が新総裁に決まった9月29日の日経平均の終値2万9544円からでも6日の安値で2250円も急落しており、株式市場から見ると岸田政権は多難なスタートになりました。
前回も「岸田氏は河野氏よりははるかにましだが、それでも高市氏と決定的に違うのは、経済対策はやるものの基本はあくまでも緊縮、財政再建路線の人物である。したがって年末にかけて数十兆円規模の経済対策をまとめると言っても、おそらく見かけだけで中身は薄いものになるだろう。」と書きました。
実際内閣発足後すぐに会見で金融所得課税の引き上げ、つまり増税の考えを表明しました。その背景にあるのは富裕層から中間層及び低所得層への分配という「分配なくして成長なし」という考えです。これに対して高市氏は「成長なくして分配なし」という正反対で、当面増税は無理であり、まずは経済を成長させて株高を実現させるのが先という考えでした。
つまり岸田首相の考えは明らかに社会主義的であり、財務省の路線に沿って増税を行っていくというのが基本であることは明らかです。これでは投資家は失望するのは当然です。岸田首相が緊縮・増税派の人物であることはとっくに分かっていたことですが、早くも本音をむき出しにしてきました。
アベノミクスの成長路線を修正して、分配路線に転換という方向を明確にしたのは、株式市場ではマイナスと受け止められるのは当然です。海外投資家も先週日本株を昨年2月並みに大量に売りました。
日経平均は2月と9月でそれぞれ3万700円台で高値をつけてダブル天井の形になってしまいました。しかし今週の急落でTOPIXは200日線のところまで下げました。8月20日にも200日線のところで下げ止まり底打ちしていたので、目先的には反発局面とみられます。
※このコラムは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋・修正したものになります。