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11月の日本株が10年ぶりに値下がりとなった不吉な意味2021.12.03

 前回指摘した通り、先週はナスダック指数とSP500指数の週足チャートが過去最高値で陰線包み足になりました。その後今週は米国株も下げ波乱になりましたが、SP500指数は終値としては10月18日以来の水準まで下げてしまいました。それでも大きな上昇トレンドは壊れていません。200日線は4302のところですが、12月2日の終値は4577ですから上回っています。ナスダック指数も12月2日の終値15381に対して200日線は14404のところですから大きく上回っています。

 これに対して厳しいのは日本株で、今週の下げ波乱で日経平均、TOPIX、マザーズ指数、ジャスダック平均、東証2部指数がすべて200日線を下回っています。米株は直近で過去最高値をつけたばかりで貯金がありますが、日本株は元々動きが悪かったので貯金がありませんでした。

 しかも11月は本来株高の季節ですが、今年の11月相場は日経平均やTOPIXが2011年以来10年ぶりに前月末比で値下がりとなり、同時に月足も10年ぶりに陰線となってしまいました。これは期待外れというだけでなく、日本株の大きな変化を示す実に象徴的な結果です。

 2012年から昨年まで9年連続で11月相場は値上りしていたのが、今年は力尽きたわけですが、2012年というのは自民党が民主党から政権を奪い返して、安倍政権が誕生したところです。そこからアベノミクスの大上昇相場がスタートしました。そして今年は菅政権から岸田政権にバトンタッチしました。菅首相は安倍首相の政策を基本的に引継ぎましたが、岸田首相は新しい資本主義を掲げて就任早々に総裁選や総選挙で公約に掲げていなかった増税路線を次々に打ち出して、株式市場に失望感を与えました。

 つまりもう日本は2012年からの安倍政権、菅政権とは全く違う時代に入ったことを示しており、11月相場が10年ぶりに値下がりとなったのは岸田政権に対する株式市場の不信や懸念を表しているものと考えられます。私は年初から今年の日本株は、日本の政治が最大の注目ポイントだと言い続けてきました。まさにそれが11月相場でも表れたのです。

 そうなると昨年末に発表した2021年の日経平均の高値の目安30100~30300台のゾーンを少し上回って2月と9月に30700台でダブル天井になっているわけですが、年内にこの高値を抜くのはおそらく不可能と思われます。 TOPIXの月足チャートでは今月3ヵ月線と6ヵ月線がデッドクロスしてきました。これは昨年3月の大底以降で初めてで、前回は昨年2月にデッドクロスして、そこから翌3月の底値まで暴落しました。2012年以降で見てもデッドクロスの後ほぼ毎回一段と値下がり基調になっていきましたので、今回も今後の方向性に大きな不安があります。ある程度反発しても戻り売りのパターンになる可能性があるので、注意して見ていきましょう。

※このコラムは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋・修正したものになります。

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