最も警戒すべき秋相場に入ったわけですが、米株はリーマンショックの時以来の悪い形の下げとなっています。値ごろ感で短期的に戻る場面が来ても、大きなとらえ方とは別の短期的な戻りだとハッキリ話してきました。9月10日の東京セミナーでも、その点について改めて解説して注意をしました。
今週もNYダウとSP500指数は。8月に高値をつけて以降で一番の安値を更新しました。今月のバンクオブアメリカの調査では、投資家の現金比率はリーマンショックの時を上回り、2001年10月の米同時テロの時以来の高水準で、弱気が傾き過ぎている状況で、投資家が身構えている事を示しています。本来ならこれだけ弱気に傾けば、相場は反転していくとみるのが逆張りのとらえ方です。
21日のFOMCでは市場の予想通り0.75%の利上げが実施されました。これでひとまず短期的には金利上昇をいったん織り込んで、弱気に傾き過ぎた米株が買い戻されるかどうか注目されましたが、利上げ実施後の米株は更に急落して、NYダウは21日の終値は6月17日以来の安値に落ち込みました。
ナスダック指数の月足チャートでは今月6ヵ月線と36ヵ月線がデッドクロス。月足の一目均衡表でも遅行線と月末線がデッドクロスしています。どちらもリーマンショックの大底であった2009年3月以降で初めてのデッドクロスですから、一時的に株価が反発することはあっても、戻り売りという大きな形は簡単には変わりません。
このように米株指数の月足チャートで大きなデッドクロスが起きているのは、2007年の大天井の時から下げに転じていった局面以来です。前回はそこから2008年のリーマンショックに発展していきました。今の米株はその時と同じチャート的な道筋をたどっています。
前回も書いたように、歴史を振り返ると、世界恐慌に突入した1929年10月の「暗黒の木曜日」、1987年10月のブラックマンデー、2008年10月のリーマンショックと歴史に残る米株の3大暴落はいずれも10月に起きています。引き続き油断せずに注意しながら見ていきましょう。
ウクライナ戦争もロシアがついに部分的動員令を発動して、核兵器の使用も辞さないという姿勢を見せてきています。それだけロシアにとっては苦しい戦況であり、ロシア全土で部分的動員令に対する抗議デモが広がっています。歴史的にはヒトラー率いるドイツ軍の末期を感じさせます。これがプーチン打倒に向かう可能性も考えておく必要がありますが、一方でウクライナの原発への攻撃で甚大な被害が出る可能性などもあり、歴史に残る大変なことが起きる五黄土星であることを片時も忘れることはできません。
※このコラムは今週水曜発行の会員向けレポートから抜粋・一部修正したものになります。