昨年12月の東京セミナーで、「2023年は風が吹く年である。本来なら大底から3年目の日本株は、上がっていくリズムがハッキリしており追い風の年だが、春の嵐のように突風が吹くこともあるかもしれない。」という話をしておきました。
1月4日の大発会でいきなり急落でスタートした今年の日本株ですが、日経平均は大発会でつけた2万5661円が今のところ今年の最安値で、そこから3月9日のザラ場高値2万8734円まで3,073円上昇し、これからというところで、突然噴出した米銀行の経営破綻で一気に金融不安が拡がり、今週2万6632円まであっと言う間に2,102円下げて、まるでつるべ落としのような急落となってしまいました。まさに春の嵐のような突風が吹いて荒れ模様になったわけです。
米株の方はNY株式市場の実勢を示すSP500指数とナスダック指数は200日線を割り込み、一目均衡表でも雲の下に突き抜けてしまいました。パウエルFRB議長の議会証言で、今月のFOMCで再び利上げ幅が0.25%から0.5%に拡大される可能性が大きくなったとして急落して、米銀の経営破綻で更に崩れたわけですが、私は3月11日に横浜で行った講演で、「今月のFOMCで利上げ幅は0.25%に据え置きとなるだろう。」という見方をお話ししました。その後の状況を見ても市場で懸念していた利上げ幅再拡大は考えられなくなり、0.25%の利上げにとどまるとの見方が支配的です。
米銀の経営破綻で火がついただけに、打たれ強かった日本株もさすがに崩されましたが、これは仕方ありません。ここまでですでに2つの米銀が破綻しましたが、欧州でも大手銀行であるクレディ・スイスの経営について不安が高まっており、市場ではドイツ銀行の不安まで取りざたされています。クレディ・スイスはスイス中銀から約7兆円の借り入れをすると発表したので一先ず落ち着くかもしれませんが、揺さぶり、ショック安には常に注意を怠れません。東証銀行株指数の月足チャートも、今月は8年ぶりに最高値で陰線つつみ足になり、天井打ちを示しました。
今月の日経平均は現時点で月足が陰線になっています。このまま今月陰線で確定すると、昨年10月から今年3月まで6ヵ月間の月足陰陽の並びは陽陽陰陽陰陰(〇〇●〇●●)となります。これは10月から3月までの並びとしては戦後例が無い初めてのケースとなります。つまりまさしく春の嵐にふさわしい状況になってきたことを示しており、うかつに値ごろ感などで判断するわけにはいかず、十分に注意して見なければなりません。
※このコラムは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。