前回書いたように、先週NYダウは1987年1月以来36年半ぶりの13日連続の値上がりとなりました。もし14連騰となれば、なんと1897年以来126年ぶりの歴史的な記録になるところでした。それはならず残念ながら13連騰で止まりましたが、それでも十分に価値があります。
1987年というのは10月に有名なブラックマンデーの大暴落が起きましたが、その前に年初から6月までほぼ一本調子にNYダウなど米株は上昇していきました。その1987年のスタートの時と同じ連騰記録が飛び出したわけですから、無視するわけにはいきません。
米株の実勢を示すSP500指数は、7月相場で月足チャートでは6ヵ月線と24ヵ月線がゴールデンクロスして、大きな基調の変化を改めて示しました。しかもザラ場ベースで見ると、昨年1月の史上最高値から昨年10月の安値までの下げ幅の82%を戻しています。したがって前回書いたようにSP500指数は昨年1月につけた史上最高値を抜きに行く可能性が大きくなっています。
こうした場面で、今週は格付け会社のフィッチが米国債の格付けを12年ぶりに引き下げを発表したため、にわかに株価が下げ波乱の動きになりました。
特に日本株は最も打撃を被る形になり、今週8月2日には日経平均が終値で768円安という今年最大の下げ幅で急落して、まさにフィッチショックと言える下げになりました。せっかく先週まで良い形で上げてきていたのが格下げで足を引っ張られましたが、日経平均は6月と7月に作っていた3万3700円前後でのダブル天井の形をクリアしていませんが、TOPIXや東証プライム指数、日経300は既に新高値になっていましたので、その直後の初押しという事でチャート的には壊れたわけではありません。
格下げによるフィッチショックとはいえ、それを受けた2日の米株はパニックには程遠い下げにとどまりました。米系のS&Pやムーディズに比べれば一段格落ちの欧州系フィッチの格付けであり、この格下げはショックというより、このところ強かった株価に対する絶好の調整の口実を与えたと冷静に受け止めるべきだと思います。したがって私は日米共に株価の上昇トレンドには変わりないと見ています。
日経平均が今年最大の下げ幅になった2日の動きを見ると、私が取り上げてきた株からは週刊レポートで取り上げた古河電工(5801)やINPEX(1605)、7月の東京セミナーで取り上げた飛島建設(1805)、有料情報で取り上げた伊勢化学(4107)など逆行高の株がいくつも出ていました。下げ波乱の時には逆行高の株や、切り返しの強い株、全く下がらなかった株を狙うのがセオリーです。今回はその観点で推奨銘柄をピックアップしました。
※このコラムは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。