早見は1月の東京セミナーで、トランプ大統領が米国ファーストの立場からドル安の方向にもっていき、円高が日本の株価にとって悪材料になるという見方を明確にお伝えしました。1月セミナーの講義録をお持ちの方は7~8ページのところを読み返してください。
ドル円は1月に158円台で円安がピークアウトして、今週はトランプ大統領が「日本の首脳に通貨安政策を続けることは出来ないと伝えた」と発言したこともあり、148円台まで円高が進みました。日経平均は1月の高値4万200円台から今週は3万6800円台まで下落しており、円高・株安の流れでした。このところ米景気の後退がハッキリしてきており、早ければこの春に利下げを実施する可能性が出てきました。そうなるとますます円高圧力が強まりますが、3月は米利下げ期待との綱引きで株価を見る必要があります。
2月の東京セミナーでは、「もし2月の日経平均の月足が陽線〇なら、3月も陽線が期待できる」と話しましたが、残念ながら2月は陰線●で終わりました。今年の日経平均の月足は1月と2月連続陰線ですが、戦後振り返ると1月と2月が連続陰線●の時は、続く3月相場は3分の2は陰線●ですから、すっきりしないアノマリーの形です。日経平均は直近の急落で、昨年10月以降作られていた強力な下値抵抗ラインを割り込んで下に放れ、200日線も下回って、チャート的には壊れた形です。
米国の株価もナスダック指数とSP500指数が急落して、共に今週は週足チャートでは2週線と26週線がデッドクロスしてきました。これは一昨年10月の安値以降で初めてです。特に半導体株の崩れが大きく、東証に上場しているグローバルX半導体株ETF(2243)は、1月の高値2042円から今週は1664円まで18.5%下げて、月足チャートでは2月末に上場以来初めて3ヵ月線と12ヵ月線がデッドクロスしています。
ただ、3月1日の「春のIR祭り」での講演で話したことですが、日経225レバレッジETF(1570)の週足チャートで逆張り指標のRSIを見ると、先週末2月末に26.3まで低下しました。30を下回ったのは、前回昨年9月で、翌週が底打ち。一昨年以降では週足で30を下回ると常にその週か前後の週で日経平均は底打ちして上昇に転じていました。これも「春のIR祭り」で話したことですが、ウクライナの戦争早期終結なら世界的なインフレ圧力の低下にもつながり、米利下げ期待とも相まって株式市場では懸念が薄れます。あくまでも臨機応変にいつでも君子豹変できるようにしましょう。
※当記事は都合により3月6日(木)に執筆したものです。