米株はNYダウが1987年1月以来36年半ぶりの13日連続の値上がりとなり、実勢を示すSP500指数は、7月相場で月足チャートでは6ヵ月線と24ヵ月線がゴールデンクロスして、ザラ場ベースでは昨年1月の史上最高値から昨年10月の安値までの下げ幅の82%を戻しました。こうした強い形になった直後、格付け会社のフィッチが米国債の格付けを12年ぶりに引き下げを発表したため、にわかに株価が下げ波乱の動きになり、今週は中小の米銀の格下げが発表されて米株は値下りしてきました。
週足チャートを見ると、NYダウは先週今年の最高値で陰線包み足の形になり、ナスダック指数とラッセル指数も先週は今年の高値水準で陰線包み足になりました。したがって米株は調整場面に入っていると見られますので、この調整場面を抜け出すのを静かに見守る局面と言えます。
日本株も8月2日に日経平均が終値で768円安という今年最大の下げ幅で急落しました。その後も日足チャートでは8月3日から9日まで5日連続で50日線を下回っています。50日線を下回った局面は今年に入ってから3月と4月にもありましたが、終値で5日連続50日線を下回ったというのは、昨年12月16日から今年1月24日まで24日間下回った時以来です。しかも今週は25日線と50日線がデッドクロスしてきました。この2つが重なったのは今年1月の底打ち以降で初めてのことです。したがってそれなりの調整局面入りを示しています。
ただし、これは日経平均の話であり、TOPIXや東証プライム指数、日経300は50日線を下回らずに推移しており、日経平均の弱さが目立ちますので、この点はわきまえて相場を観測する必要があります。基本的に相場の実勢を観測するのはTOPIXを使うべきで、日経平均は補助的に参考として利用するものです。
日本株全体としては日経平均ほどには弱くはありません。前回も「日経平均は6月と7月に作っていた3万3700円前後でのダブル天井の形をクリアしていないが、TOPIXや東証プライム指数、日経300は既に新高値になっていたので、その直後の初押しという事でチャート的には壊れたわけではない。」と指摘しました。新高値直後の初押しは相場のリズムとして自然な動きです。私は日米共に株価の上昇トレンドには変わりないと見ています。
今週はいよいよ中国から日本への団体旅行が解禁されるとの報道がなされました。インバウンドの本命が帰ってきます。その関連株に要注目です。
※このコラムは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。