前回「短期的な調整局面は常にあることだから、TOPIXが9ヵ月連続で上昇してくれば、当然下げる場面があっても何もおかしくない。米株の下げがそうした自然なリズムを意識させる口実になる可能性は十分にある。」と書いておきました。
その米株は、実勢を示すSP500指数とナスダック指数が、共に月足チャートで8月の下ヒゲを帳消しにして底割れとなりました。したがって目先的な反発はあっても戻り売りの形です。利上げが更に続く見通しで米金利が非常に問題のある水準まで上昇してきており、米株が大きな崩れに発展する可能性はあります。加えて恒例の米政府機関閉鎖問題も市場にのしかかっており、米株の地合いが悪く、日本株も米株の下げに足を引っ張られる可能性が大きく、それに対する抵抗力を試される局面と言えます。
一方、来週から10月相場に入るわけですが、日本株の季節的な習性という事からすると、夏よりも秋から冬にかけては株価が上昇していくことが多いことが分かっています。もちろん1987年のブラックマンデーの大暴落は10月に起きており、歴史に残る下げ波乱が起きやすいのも10月相場ですから、米株の地合いが悪いことからすれば要注意であることは言うまでもありません。
日本株が上がっていく需給面での最大の原動力になるのは海外投資家の日本株買いですが、10月相場は昨年まで4年連続で海外投資家が買い越しています。
また日本株の場合は、10月20日に臨時国会が召集されるので、それに合わせて岸田首相が解散・総選挙に踏み切るかどうかという問題があります。これについては前々回の当コーナーで「自民党の選挙対策委員長に小渕優子氏を起用したことからすると、解散・総選挙の可能性が無くなったわけではないが、本気で選挙に勝つ気はないのではないか」という見方をお伝えしました。とはいえ10月は無くても11月に総選挙というのはスケジュール的には十分にあり得るわけですが、もし総選挙をやるなら、株式市場から見ると投票日にかけては株高という経験則があるので、この問題も10月相場のポイントとして引き続き観察していかなければなりません。
※このコラムは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。