NYダウが今週も急落し、ザラ場ベースでは5月20日の史上最高値4万77ドルから30日の安値3万8001ドルまで2076ドルの急降下になり、日足チャートでは100日線を下回りました。100日線を下回ったのは4月の調整安の時以来です。これで4月17日のザラ場最安値3万7611ドルから5月20日の最高値までの上げ幅の84%を帳消しにしてしまいました。
一方でNYダウが今年最大の下げ幅で急落した翌日にナスダック指数が一気に急反発で史上最高値を更新しました。今週もさらに続伸して1万7000ポイントの大台乗せを達成しています。これでナスダック指数の週足チャートは先週末5月24日までで4月の最安値から5本連続陽線で立ち上がりました。これはある程度大きな調整安の底値からとしては、昨年10月の最安値から8本連続陽線で立ち上がった時以来です。前回はその後今年3月の最高値まで更に上昇トレンドが続きました。週足チャートでは5週線と13週線がゴールデンクロスしましたが、これも前回は昨年11月24日に終わった週にゴールデンクロスして以来ちょうど半年ぶりです。
NYダウは4月の安値からの上げ幅の84%を帳消しにしましたが、ナスダック指数は18%、SP500指数も30%消しただけです。ヘッジファンドが過去10年で最も早いペースでNYダウ30種の株を売却しているとの見方が流れており、これがNYダウの異様な突出した下げにつながっているようです。
ナスダック指数やSP500指数の強さを支えているのは、半導体株のエヌビディアなど一握りの株です。その一握りの株の動向によってナスダックやSP500も波乱の動きになる可能性が無いわけではありませんので、このようにNYダウとナスダック指数のカイリが非常に大きくなってきているのは気になるところです。
しかもここへきて米国の金利の上昇が目立ってきました。今週は米10年国債の利回りが日足チャートで25日線を突破し、MACDもゴールデンクロスしてきました。今年に入ってからだけでも25日線を突破した1月、2月、3月いずれも更に一段と金利は上昇していったので、この金利上昇が米株にのしかかってきました。そうなるとエヌビディアなど一握りの株の値上りに支えられていた米株にとって大きなマイナス要因です。
日本株は、前回も書いたように米株に比べると明らかに動きが重く、ナスダック指数は史上最高値を更新しましたが、日経平均もTOPIXも3月の最高値に全く届きません。グロース250指数に至っては泥沼状態で底割れになっています。日本の10年国債の利回りも今週更に上昇して12年ぶりの水準まできました。日銀が7月に利上げを実施するとの観測も出ています。さすがに金利の上昇が日米の株価に影響を与えてきていますので、ディフェンシブ的な投資作戦も必要です。
は今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。