前回は「総選挙で自民党敗北を織り込むか」と書いておきました。解散のところから日経平均は経験則に沿って上昇しましたが、各報道機関の序盤情勢調査で、自民党は15年ぶりに単独過半数を割り込むかどうかの攻防戦になっていると報じられたため、日経平均は4万円台を回復したところで止まりました。
さらに今週は「自民党と公明党の合計でも過半数を割り込む可能性がある」と複数の報道機関から報じられたため、日経平均は10月15日の戻り高値4万257円から10月23日の安値3万7987円まで2,270円下げてきました。最悪の場合立憲民主党中心の野党に政権が交代するかもしれないという2009年の政権交代以来の危機的な状況になってきたわけで、前回書いたように自民党の敗北を織り込む動きになってきました。
日経平均は10月15日の戻り高値でアイランドリバーサルの悪い形になりましたが、前回この悪い形になったのは、7月11日に史上最高値を付けたその日でした。続いて10月23日までで11日連続陰線となりました。これは民主党野田政権の時の2012年4月から5月にかけての13日連続陰線以来です。つまり株価の形はひと足先に民主党政権時代に戻ったわけです。おまけに今月はTOPIXの月足チャートが最高値から4ヵ月連続陰線となっており、このまま確定すると天井打ちの後最初の4ヵ月連続陰線は、2007年11月から2008年3月にかけての5ヵ月連続陰線以来で、前回はその後6月にかけて戻したものの、2008年後半にリーマンショックの大暴落になりました。
早見は一貫して「日経平均が7月の史上最高値を抜くのは容易なことではない」と指摘してきましたが、このように非常に厳しい形になっています。しかも今週はドル円が153円18銭までつけて3ヵ月ぶりの水準に円安が加速しても株価は上がりません。今までの円安・株高の図式が崩れて、円安・株安に完全に転換すると日本売りの形です。
この記事を書いている段階では総選挙の結果は分かりません。自民党と公明党を合計しても過半数を割れるのか、それとも心配していたほどではなかったか、選挙は水モノです。今回は期日前投票が前回総選挙の同時期よりも約2割少ないとのことで、投票率が下がれば労組など組織票が固い党が有利です。一方自公合計でも過半数割れとの予想が出て、野党に政権交代するのはさすがにマズいという「アンダードッグ効果」で、与党に投票する有権者が増える可能性もあるなどの要素が複雑に絡み合います。
2024年のキーワードは大きく揺れる年ということを昨年12月からお伝えしてきました。日本の総選挙に続いてすぐに11月5日は米大統領選の投票日です。日米ともに政治面からの大きな揺れが起こる可能性が十分にあります。
当レポートは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋・一部修正したものになります。