トランプ氏が米大統領選に勝利してから、米株は好調な値上がりを見せてトランプラリーの様相となり、NYダウ、SP500指数、ナスダック指数は揃って史上最高値を更新しました。前もって有料情報でお伝えしたように、2008年のリーマンショック以降、大統領選の年の米株は、投票日にかけて値下がりしていっても、投票日以降は上昇に転じて年末年始の株高に突入するパターンが多くみられましたが、まさしく今回もズバリとその経験則に沿った展開になりました。
これに対して日本株はもたついています。日経平均は依然として10月15日に4万円台を回復したところで作られた日足チャートのアイランドリバーサルの悪い形を解消することが出来ません。それでもTOPIXは日経平均よりも先に10月の戻り高値を抜いて、7月31日以来の高値まで回復しました。TOPIXの週足チャートでもMACDがゴールデンクロスするなど日経平均よりは強い形になっていました。日経平均もTOPIXも崩れたわけではありませんが、いかんせん米株の強さに比べればあまりの開きがあります。
アメリカ第一のトランプ氏が勝利したことで、そのあおりで日欧中が関税問題などで経済的に厳しい状況を突き付けられるわけで、それらの国々の株価は動きが悪くなっており、日本株だけの問題ではありません。欧州株の指標であるストックス600指数は3ヵ月ぶりの安値に落ち込みました。日経平均が7月に史上最高値を付けた後、早見は一貫して「日経平均が7月の史上最高値を抜くのは容易なことではない」と繰り返し言い続けてきましたが、相対的に強いTOPIXでさえ7月の最高値には全く届きません。なかなか期待通りに素直に上に行かれない状況です。
そうした中で前回も書いたように銀行株の強さが目立ち、東証銀行株指数は7月の最高値から8月の安値までの下げ幅の96%を戻したので、新高値が視野に入りました。早見が有料情報や東京セミナーで買い推奨して持続していただいている大手銀行の三菱UFJFG(8306)や、みずほFG(8411)は、それぞれ推奨時点の株価から短期間で18%値上りしてヒットになりました。12月に日銀が0.25%の利上げを実施すると見ており、金利の先高観が銀行株に追い風です。
一方小型株も先々週の週刊レポートで「テクニカル変化に注目」で取り上げたフルッタフルッタ(2586)も、その後たった3日間で38.2%も値上がりするホームランになるなど、けっして全滅相場ではありません。指数に気を取られていると必要以上に全体が弱く見えますが、実際は強い株がたくさんあります。森を見ないで木を見ている方が良い相場と言えるでしょう。
当レポートは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋・一部修正したものになります。