日本航空 失速2012.09.28

多くの関心を集めて9月19日に東証一部に再上場を果たした日本航空(9201)だが、早くも株価は失速してしまった。

折悪しく公開直後に噴き出してきた中国リスクが投資家の売りを誘っており、株価が下げ止まらない。公開価格3790円に対して初値が3810円、公開当日に3905円まで値上がりしたが、賑わったのはその日だけであった。

その後、中国国内での反日ムードの高まりで日中間の航空路線で大量のキャンセルが発生し、これを受けて9月26日には3210円まで下げて来た。初値から約16%の値下がり率になっている。公開株を手にした投資家も売却していなければ全員損失を被る形になっている。

 9月から11月までの団体客の予約キャンセルは9月24日時点で日本航空が約1万5500席、全日空が21日時点で約3万7000席、合計約5万2500席にも達している。日本航空の場合、キャンセルの内訳は日本⇒中国が約6900席、中国⇒日本が約8600席となっている。会社側では成田発着の北京、上海線と関西発着の上海線を10月10日から27日にかけて減便することにしている。

こうした影響が今後業績面に出てくるわけだが、日中間の経済活動が今後長期に渡って冷え込む可能性が大きいと見られており、すぐに乗客数が回復してくるのはなかなか難しいと思われる。

客観的に見て収益力から考えれば割安だという見解もあるが、今後しばらく日本航空の株をあえて買わなければならない材料も見当たらないので、値ごろ感だけで手を出すのは難しいと言える。それよりも諦めムードで株を売る動きの方が続くのではないかと思われる。

ようやく再上場を果たした日本航空だが、非常にタイミングが悪く日中間の対立と重なってしまったのは不運というしかない。

ちなみに全日空の株価も9月26日に166円まで下げて、9月5日に付けた最安値164円に迫ってきた。こちらも依然として底打ち感が全く出ておらず、今後底割れの可能性が大きいと思われる。

※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。

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