今月16日に発表された7月の首都圏マンション販売動向によると、発売戸数は8ヵ月連続で減少し、契約率も2ヵ月連続で好不調の目安となる70%を割り込んだ。1戸あたりの平均販売価格も5656万円で、前年同月比5%下落した。販売価格は今年5月まで12ヵ月連続で上昇していたが、6月から下落に転じており、天井を打ったと思われる。
特に注目すべきは、富裕層の投資対象にもなっていた20階建て以上の超高層マンションの売れ行きが大きく落ち込んできたことだ。超高層マンションの契約率は51・4%で、6月の92・3%から大幅に悪化しており、長らく続いてきたマンションバブルもついに弾けたのではないかと見られる。
こうした高層マンションは、相続税の評価額を低く抑える節税対象として富裕層の人気を集めていたが、国税当局が監視を強め、この締め付けの効果も出て来たようだ。
今後は比較的割安な一戸建て住宅や中古マンションに買いの手が伸びていくことが期待できそうだが、細かな事はともかく、大きなトレンドとして不動産全体に対する目が厳しくなってくる事が警戒される。特に臨海部中心に超高層マンションに強かった住友不動産(8830)のような銘柄には注意が必要だと思われる。
株価は常に先を見ていくので、9月の日銀の追加緩和期待とも睨み合わせながら、不動産株も選別が必要と言える。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。