政府は6月末に任期を迎える日銀政策委員の石田氏の後任に新生銀行の政井貴子氏を起用する人事案を国会に提示した。退任する石田氏は先般のマイナス金利導入に反対したが、新たに就任が予定されている政井氏はマイナス金利政策を高く評価しているとされている。このため政井氏の就任により、黒田総裁の金融緩和路線は一段とやりやすくなる。
マイナス金利導入に反対した4人の内、既に白井さゆり氏は3月末で退任し、後任にやはり緩和支持派と見られる桜井委員が就任した。今回石田氏が退任して、政井氏が就任することにより、マイナス金利導入時は5対4のたった1票差で薄氷の決定であったのが、現時点で既に6対3に開いており、今後政井氏の就任により7対2に更に票差が拡大する。
政井氏は為替の専門家であり、円高傾向が強まっていた現状で円安志向を持っている人物と見られているので、今後の対応で黒田体制は盤石のものになる。
この件に関しては以前からセミナーでも話をしてきたが、今後の追加緩和を実施する時期の判断にも繋がり、もし今月末に日銀が追加緩和を見送ったとしても、次回6月は盤石の体制のもとで思い切った緩和策を打ち出す可能性が大きいと見る。
熊本地震の発生により4-6月のGDPもマイナスになる可能性が大きいとの観測が出て来ており、もしそうであれば昨年10-12月期以降、3期連続マイナス成長という事になりかねない。
7月の参議院選挙に向けて政府と日銀が一体となって思い切った景気テコ入れに向けて動いていくことが期待される。政井氏の就任はそのための大きな一歩になるだろう。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。