安倍首相が今週12日、前FRB議長のバーナンキ氏と会談した事で、にわかにヘリコプターマネー導入への思惑が広がってきた。バーナンキ氏はヘリコプターマネー理論の権威であり、2008年のリーマンショックの時は直ちにドルの大量供給に踏み切り、金融不安を終結させて、アメリカの景気回復を導いた実績を持つ。
常識的には困難であると言われていたヘリコプターマネー政策が、壁にぶち当たったアベノミクスを再点火させるには究極の打開案と見る向きがある。日銀が従来通り市場経由で国債を買い取り、半永久的に保有すると宣言すればすむなど、やろうと思えば出来ないわけではなく、前内閣官房参与の本田氏も安倍首相に「今こそヘリマネに踏み切るチャンスだ」と進言したことが13日の産経新聞で報じられた。現在の内閣官房参与の浜田氏も、「一度限りという条件ならヘリマネを検討してもよい」と語った。
日銀がマイナス金利政策を導入しても円高を止めることが出来ず、物価目標も達成できない。黒田日銀総裁も「ヘリマネ」には消極的とされているが、もはや常識を逸脱したやり方でなければ現状を打開することが出来ないのは、誰の目にも明らかだ。
政府と日銀が協定を結び、日銀は市場で買い取った国債を半永久的に保有し、一方政府は協定の範囲内で国債を発行していく。その結果景気が回復し、インフレ率が上昇してくれば日銀は国債購入を打ち切り、政府も消費税引き上げを実行すればよい。
果たしてそこに踏み込んでいけるかどうか、まずは今月末、日銀の金融政策決定会合が注目される。既に株式市場は「ヘリマネ」への期待を思惑的に先取りして動き出している。ただ、菅官房長官は「ヘリマネを検討している事実はない」と否定している。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。