イギリスのEU離脱問題をきっかけに、日本の個人投資家の間にまたぞろ純金積立投資に関心を持つ向きが増えて来ている。
大手の田中貴金属によると、特に今年は初心者が純金積立に殺到する形になってきており、インターネットで取引できる新規会員数は、日銀がマイナス金利政策を始めた2月が前年同月比27%増、イギリスのEU離脱が決まった6月は25%増とそれぞれ大幅に増えた。1月~7月までの月平均新規会員数は、10年前に比べても61歳~70歳が約7倍、71歳以上も約6倍も増えている。マイナス金利導入による流れも金に目を向けることになっているようだ。
ただ、言うまでもなく金は利息がつくわけではない。また元本が保証されているわけでもない。あくまでも相場商品であることに変わりなく、金相場の変動がどのようになっていくかが最後の分かれ目になるが、先般発表されたアメリカの雇用統計で強い数字が出た事により、アメリカの利上げが頭をもたげてくる時に金相場を圧迫することは十分に考えられる。
国内の円建て金相場は、東証に上場しているSPDRゴールド・シェア(1326)の動きを見ても、大きな三角持ち合いの中で上下に方向感が定まったわけではない。
孫や子供に財産として金を残していこうと考えるのは、短期的な相場の変動とはまた距離を置くものなので、それはそれで各自の考え方次第だが、ただ日本の場合、円安は円建て金価格を押し上げるので、アメリカの利上げがマイナスとばかりは言えない。
加えて、尖閣諸島問題で日中の緊張が今までになく高まってきており、地政学的リスクで「有事の金買い」という考え方も無視できなくなってきた。そうしたことを総合的に捉える必要がある。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。