4日に発表される米雇用統計へ、いよいよ今年の為替相場のクライマックスが近づいてきました。11月の米雇用統計が順調であれば、16日の利上げは間違いなく行われ、利上げ幅とペースが今後の焦点になるかと思います。今回の米雇用統計の予想数値は、失業率が5・0%で前回と横ばい、NFPは20万人増で、前回の27万1千人を下回るという見通しですから、予想から大きく下にかい離するようでなければ利上げとなりそうです。
さて、その後の利上げペースについてですが、もちろんFOMCを経ないと状況は分かりませんが、9年半も低金利を続け、米株は史上最高値水準で、製造業の減速感すら感じられる昨今、ハイペースな利上げを望むのは現時点では厳しそうです。
過去の金利変更局面で参考になるとすると、99年からの利上げ局面が近年では近しいのかもしれません。99年6月に0・25%利上げをして5%になった金利は、その後1年間で6・5%まで上昇するも、その後はITバブルによる景気減速を背景に利下げに転換していき、2003年には1%まで到達する低金利になりました。最近ハト派の急先鋒であるシカゴ連銀エバンス総裁も、今後の金融政策について「極めて漸進的な利上げが妥当、他のメンバーよりも遅い利上げを好む」と、早速今後の利上げについての緩やかなハトコメントを出してきました。
FOMCメンバーによる長期的な金利到達水準は3・5%とされていますが、債券利回りから見れば、現状市場が織り込んでいるのは2%程度です。12月のFOMCの後は、このペースについてのアナウンスメントと市場の織り込み度合いのかい離がドルの方向性を決めるかもしれません。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・追記しております。