今年最初の会合で据え置きを決定した日銀(11時56分発表)の今後の金融政策のかじ取りについて、方向感が見えづらくなっています。限界論が囁かれ、財政支出による物価上昇率2%を目指そうという新理論も囁かれる中、アベノミクスを提唱してきたリフレ派の浜田氏が、昨年のジャクソンホール会合で発表した論文を読んで考えを改めたというインパクトを与えた米プリンストン大の教授、シムズ氏が来日している。
シムズ氏は日本の量的緩和策について「大量の資金供給をして金利水準を低く保ったのは正しいが、利下げ余地が無くなると金融政策で物価をコントロールすることは出来ない。最大の失敗は、物価上昇率が2%に達する前に消費税増税に踏み切ったことだ」と、2014年4月に実施された消費税率8%増税について批判し、安倍首相が「次の延期は無い」としている10%への増税は、物価上昇率2%に達するまで無期限で延期すべきだという考えを話した。
日銀が31日に発表した日銀展望レポートによると、2016年度のコアCPI見通しは▲0・2%(従来▲0・1%)、2017年は+1・5%となっています。2016年は▲0・2%・・・日銀は物価2%の達成時期を2018年度頃で据え置きしていますが、金融政策面からのアプローチの手がもうないとなると、財政支出の新理論がやはり本流になるのでしょうか。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・追記しております。