当初は月内に新政権発足が期待されていたNZですが、連立協議がまとまらずに政権不在が続いています。10月7日に海外投票分も入れた最終投票結果が発表され、それを受けての連立・組閣が期待されていましたが、方向性は全く聞こえて来ず、むしろ混迷し始めてしまっているようです。
キャスティングボードを握るNZファースト党ですが、ここが移民抑制、TPP反対、NZドルの減価主張、RBNZ改革を掲げていますので、与野党どちらと連立を組んだとしても、この党の政策が政権運営を振り回す可能性が高く、連立決定が長引けば長引くほど、この弱小政党の意見が強まる可能性も出てきそうです。
野党と組んで連立となれば、何より金融政策が大きく変わってくる可能性があります。17日に発表された第3QCPIは、前年比で+1・9%となりました。前回は+1・7%から回復し、再び第1Qの+2・2%に近づいてきました。インフレターゲットの中央値は2%ですから、金利政策についての言及が始まってもおかしくはありません。しかし、現在政権が樹立されておらず、金融政策も不透明ですから、次の方向性を何も見出すことが出来ずにいます。
今のRBNZだと、2019年中頃まで現在の低金利政策が続くことが見通されていますが、野党と組んだ連立政権が樹立となると、この見通しが大きく変わる可能性があり、利上げピッチは速まることもあり得ます。ただし、NZドル減価を主張している点もありますから、NZドル高抑制も強まる、これまでと旗色の違う金融政策になるという可能性を秘めており、政権の方向性が定まらない今は、NZドルの取引がしづらい地合いが続きそうです。
NZは1996年の総選挙で10月12日投開票・12月10日組閣と2ヵ月の空白を生んだことがありました。再びの政治空白なのか、引き続きニュースは少ないですが注意しておいて下さい。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・追記しております。