日本時間9日の深夜、トランプ大統領がイランの核合意からの離脱を表明しました。直後は金融市場も乱高下になりましたが、イランへの経済制裁再開について、ムニューシン財務長官が「90-180日の猶予期間がある」としたことなど含みを持たせたことで、ひとまず落ち着いた動きになりました。しかし、中東情勢に先行き不透明感が強まっていることには変わりません。
また、9日は日中韓首脳会談が行われたほか、同日北朝鮮には米朝首脳会談の準備のためにポンペオ米国務長官が平壌に入りました。それを前に、8日に金正恩氏が電撃で訪中(意外にも飛行機で)、急激な蜜月ぶりを見せています。
現在の動きで特に堅調なのが、金利上昇期待のドルと、クロス円の中ではカナダドルが下げ渋りの動きになっています。クロス円は全般的に3月安値を4月に戻したものの、再び安値を伺う下値模索の動きになっていますが、カナダドルは未だ大きな崩れにはなっていません。この動きは原油の上昇がサポートしていると思われますが、現在2014年以来の70ドルまで上昇してきた原油相場は、今年80ドル、一部では100ドルを目指すという声も聞こえてきました。今回のアメリカのイラン合意破棄を支持したサウジアラビアは今年、原油を80ドルまで持ち上げたいという意向がある模様。
OPECとロシアが進めてきた減産で、供給過剰も安定した中、中東問題で再び原油に火が点く可能性が強まっていることで、カナダドルはファンダメンタルズの追い風が吹けば、再び上昇機運となるかもしれません。30日の金融政策会合に向けて、まずは今週末11日(金)に4月雇用統計が発表されます。新規雇用者数予想は2・05万人(前月3・23万人)、失業率予想は5・8%です。
※こちらのコラムは会員向けレポートより抜粋した文章となります。