米国が保護主義色を強めた4月以降、中国人民銀行が元安誘導を続けています。特に6月に入って以降はかなりピッチが強まっており、直近3週間で対ドルで5%以上元安が進んでいます。上海株の崩れも酷く、この状況を受けて周辺の新興各国の株価も軒並み振るいません。日本市場も9時にオープンして寄り付きの動きが出た後、人民元の基準値が発表され、その後上海がオープンしてくると、一段の売りが強まる展開が続いています。
7月3日は1ドル6・7元まで元が割り込んだため、一部の中国大手銀行がドル売りの小規模介入を行ったと噂されています。午後には再び6・65元まで持ち直しましたが、そのタイミングで中国人民銀行幹部が「人民元の安定を維持する」「米国との通商問題で人民元を武器として活用することはない」と発言し、口先介入も行い、元の安定に神経質になっていることが伺えます。
暑さは厳しいですが、相場は冷え込みの激しい夏になるのでしょうか…。
ちなみに、2015年に中国が人民元の切り下げを3日連続で実施した際、初日に「1回限り」と表明しながら、しれっとその後2日連続で追加切り下げしましたので、中国側の発言をストレート受け止めると危ないですね。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより追記・抜粋しております。