年初から厳しいリラ安が続いているトルコですが、先般の大統領選挙でエルドアン大統領が当選して以来、一段と厳しい状況になってきました。
エルドアン大統領は中銀の利上げを否定していることから、インフレが加速していてもトルコ中銀は利上げという一手を撃てません。中銀は今月6日にリラ安抑制として、外貨準備率の上限を45%→40%に引き下げる決定をしました。これは市場に22億ドルを供給するようなものですが、足元を見られて再び売りが拍車しました。市場の反応としては「これ以上手が無いだろう」という見方が売り優勢の流れになっています。
加えてトルコとアメリカの関係が悪化しています。もともとエルドアンとトランプの関係性が良くありませんが、トルコがアメリカ人牧師をテロやスパイ罪で自宅軟禁にしていることで、アメリカ側は釈放を求めていることに対し、先般両国代表者が会談を行いましたが、決裂。アメリカ側は15名のリストをトルコ側に渡しており、来週水曜日までにこの15名を釈放しなければ追加の制裁を行うとしています。
これに素直にトルコが従うとは思われないことから、ますます米トルコの関係が悪化するという向きもトルコリラ売りに拍車をかけており、日本人のトルコリラロングも20切らされてきています。直近で対円で19円台までリラ売りが進んできていますので、一段とロスカットが走る可能性もあります。
エルドアン大統領は国民に対し、保有する外貨をトルコリラに換金するよう求めていますが、この程度で世界経済に対峙するなど武器を持たずに暴れているようなものでは・・・。
トルコは来月発表を予定していた中期経済計画を、前倒して本日(8/10)に発表するとしました。どんな内容が出るかは分かりませんが、今の時点では発表後反発する場面があれば、それが再び売りのタイミングを作る可能性の方が高そうです。
15名釈放してトランプと休戦し、インフレを直視して利上げをすれば、それだけでトルコリラ、一旦戻りそうですが・・・。
来週はお盆です。季節的アノマリーは円高になりやすい時期。既に始まっている感じですが、加えて週後半は北戴河会議を終えた中国が何か新たな弾を市場に投げ込んでくる警戒もあります。
来週はお盆休みに入りますから、特に日本時間は薄くなりますので、一段のリスクオフの流れにはご注意を。
※こちらのコラムは当ホームページ向けの書き下ろしとなります。