「国連」総会の場でグローバル化の方針を否定(!)したトランプ大統領が、OPECについても原油価格の上昇を止めることを望むと発言しました。WTI原油価格は27日終値で72ドル台ですが、北海ブレント先物は直近で2014年11月以来の82ドル台にまで上昇しました。23日にOPEC加盟国・非加盟国が「早急な増産はしない」としたことで、市場では年末に向けて原油価格が100ドルまで上昇する可能性があると指摘され始めています。
アメリカは11月から対イランで原油輸入の制裁を実施することは決まっており、日本もイランからサウジに輸入先を変更することが報じられていますが、こういったイラン制裁で原油の供給が失われ、価格がひっ迫するのではないかという見通しが伝えられています。加えて直近のOPEC総会では産油国の増産も見送られましたので、原油の需要に対し供給が追い付かなくなることが懸念され、原油高が意識され始めました。ただ、直近でサウジが「短期間の増産を検討している」と一部で報じられたことで、今週高まった懸念はやや落ち着いたところですが、現実には原油価格の上昇で足元の生活にも影響が出ている国が多く出てきていますので(トルコではリラ建ての原油価格が年初から2倍の過去最高水準)、原油高は注視ですね。
原油高・・・日常生活においてはマイナスですが、FXでは原油高を追い風にする通貨に買いの目を向けておきたいところ。やはり資源通貨ですからブラジルレアル、南アランド(鉱物がメイン)、カナダドル、そして豪ドルになると思われます。
政治不透明感と経済停滞、リセッション入りしたことで大きく売られた南アフリカランドですが、意外(?)にもSARBは直近の会合で、早期の利上げを示唆しました。ラマポーザ大統領も評価はイマイチながら経済政策を発表していますので、南アランドは対円で7円割れから一転、8円台乗せまで上昇してきました。豪ドルは未だ動きが鈍いですが、カナダは週足で一目均衡表の雲を2月以来上回ってきました。NAFTA交渉が進んでいないことも市場は織り込んでいますし、来月にはBOCの政策金利発表もありますので、ちょっと期待でしょうか。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・追記しております。