今週は、目先の大きな材料として12月1日の米中首脳会談が警戒されていますが、その前に28日深夜のパウエル議長の講演で、来年の金融政策について、現在の想定よりもややハト派な内容が示されたことから、NY時間のドル円が下落しユーロドルが反発しました。ちょうど議長の講演の前日、トランプ大統領が「FRBの金融政策が経済に悪影響」「パウエル議長に不満」と現行の政策に対する強い批判メッセージを示していたことと、今夏副議長に就任したクラリダ氏が今後の利上げに対して否定的な意見を示していたこともあり、警戒が強まっていましたが、思った以上の発言と反応でした。個人的にはFRBも独立機関とはいえ、政治とは切っても切り離せないところですから、ある程度の忖度?はあったように感じたことと、相場が強く反応したなという印象の2点です。ただ、ドルが113円を割り込まなかったことはやはりまだドルの強さを感じさせられました。
こういった流れを一変するかもしれないのが、明日(12月1日)に開催される米中首脳会談ですね。中国経済は目に見えて鈍化が出てきました。30日に発表された11月の製造業PMIは50・0となり、2016年6月以来2年ぶりの低水準に落ち込んできました。今回習近平国家主席はこれまでよりも柔軟な考え方をしないと、中国経済をかなり冷え込ませる結論になってしまいそうですが・・・。
アメリカ側は中国との貿易赤字の解消、知的財産権の保護、また地政学的リスクでは台湾への影響の軽微など様々な面からも中国を抑え込みたいところですが、台湾にも少し変化がありました。週末に行われた統一地方選挙で、蔡英文総統率いる対中派の与党が歴史的な大敗をし、親中派が大きく議席を増やしました。台湾経済は対中路線よりも親中路線が現実的・・・と世論が反応したようです。
台湾はもとより、豪をはじめとする資源輸出大国や日本をはじめとする周辺各国にとっても大きなポイントとなる中国経済の行方が決まるのか?
相場は今時点で既に膠着してきました。さすがにここでポジションを建てる気にはなりません。週明けはギャップに警戒です。
※こちらのコラムは当ホームページ向けの書き下ろしとなります。