中国がくしゃみをしたら豪州が風邪をひくぐらいに関係が強い豪中の亀裂が貿易価格でも表れてきています。
もともと、ターンブル前首相は息子の結婚相手も中国共産党員というぐらいの中国びいきの人でしたが、国内での中国脅威論が強まって以降、親中から対中へとスタンスを変えて行きました。(2018年8月辞任)現在はサイバーセキュリティや太平洋島嶼国への中国の影響力を巡って緊張が高まっており、直近の報道では、豪のニューキャッスル港から輸出される豪産の石炭を中国が買入れを削減していると報じられています。その背景として、通関手続きがこれまでの2倍以上、最大45日も掛かっており、この制限がいつまで続くかが不透明なことから、ロシアや他国の石炭に切り替えて輸入せざるを得なくなっているのが現状です。1月の豪石炭の中国向け出荷は前月比▲30%となっており、輸出の最大品目である石炭の輸出減少は、豪経済への不安感に繋がっていくと思われます。
豪の主要貿易品目は首位に鉄鉱石、2位に石炭ですが、価格では2018年中に鉄鉱石を上回る輸出額になるなど大きく経済に寄与してきました。これが鈍って来るのは大いに懸念です。
このコラムは20日の時点で書きましたが、その後21日、中国の大連の税関が遼寧省内の5つの港で豪州産の石炭の輸入を停止すると報じられ、豪ドル売りになりました。22日、豪政府サイドはこの報道を否定していますが、中国側は明確な否定を避けていますし、前述の通り豪産の石炭の通関の長期化も懸念されていましたから、この問題は広がりを見せて来そうです。
引き続き豪中問題は追いかけていきます。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・加筆しております。