カナダドル円の日足チャートを見てみると、200日線で上値を抑えられてMACDも下向きました。
3月6日のBOC会合で、ついにカナダも利上げ停止を打ち出すスタンスになりました。これまで段階的に金利を引き上げ、1・75%まで上昇してきましたが、当面は据置きとなります。
この決定を受けてカナダドル円は売りが強まり、21日線も下回って直近85円22銭の高値をつけた2月28日がピークとなって、82円半ばまで下落してきました。全体的な地合いでドル円は下げていますが、他の通貨に対してはドルの独歩高、クロス円は全般に下げで直近の上昇の一服となっていますので、カナダ円ももう一段の売りが警戒されます。80円50銭台に大きな節目がありますから、このあたりは目先の下げ目安になりそうです。
さて、このカナダドルについてのニュースは普段あまりありません。貿易も輸出の4分の3がアメリカ宛てですから、米経済が安定していればさほどの影響もありません。ただ、直近で気になる点が2つ。
2月15日に発表された12月の対カナダ証券投資は前月の+94・5億CADに対して、-189・6億CADとなりました。これは自国証券に対する資金の流れを示しますから、流出が大きかったことが分かります。ざっと振り返ってみると、2014年のトルコリラ、ルーブル安不安があった12月に-135億CADがありましたが、今回はそれをも上回った大規模になっています。
もう1つは3月5日、中国税関がカナダのキャノーラ(菜種)の輸入を禁止しました。先般発生したファーウェイCFO拘束の報復と言われています。そのCFO拘束事件があったのが、昨年12月5日です。
カナダにとってキャノーラの輸出は全体の1・4%ですから微小ですが、こうして中加の関係が一段と悪化していくことになると、ファンダメンタルズの面からもカナダドル売り材料になりそうですから注意して見ています。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・加筆しております。