各国中銀が次々と政策を打ち出し、政府当局も財政政策を打ち出していますが、リスク拡大の懸念は全く沈静化を見せません。流動性確保のためドル買いが続いており、対ポンドでは1985年3月以来35年ぶりの水準までドル高が進んでいます。
対円でも、3月9日には101円台まで下落したドルでしたが、その後ドル確保の動きが強まり、108円まで上昇。一旦105円まで押し戻されるも、現在108円アッパー迄上昇して、200日線を上回り、90日線にタッチしてきました。ただ、テクニカルが効くような地合いではないのは言うまでもありません。参考程度として見てみると、現在は過去○○年以来という言葉が飛び交いますので、長期の月足チャートで2015年の直近最高値125.88と、2011年の最安値75.57のフィボナッチで見ると、安値が突っ込んだ101円は50%戻し(100.72)の水準、反発している現在の108円水準は38.2%(106.66)を上回ります。高値からの上値抵抗線が111-112円水準ですから、長期チャートで見ると節目になりやすいかもしれない水準が見えてきますし、落ち着いて見られます。といっても、これは現状の動きであり、何かの「政策」が金融・政府サイドから出るたびにひっくり返されたりしますから、今のトレンドが継続的かも言えない点は注意が必要です。
そしてWTI原油は22ドル台まで下げてきました。すでに全国民の出国禁止も発令した資源国オーストラリアの豪ドル下落が止まりません。AUD/NZDでは史上初のパリティ割れ示現となり、NZドル高が顕著です。対ドルでも2003年以来の水準まで豪ドル安が進んでいます。
こういった外貨の対ドルでの売りはドル円よりも顕著に進んでいます。リスク回避で買われやすい日本円でのドルの動きを見るよりも、ドルストレートでのドル買いの方が短期的にさらなる深堀が見込めそうです。
直近ではFRBが量的緩和に加えて、CP買い入れを10年ぶりに緊急措置として対応すると発表し、ECBは日本時間の19日午前8時過ぎ(現地時間で深夜0時頃)に緊急で7500億の購入プログラムを発表。各国中銀は矢継ぎ早の対策・利下げを行っていますが、まだ落ち着きは見えません。すでにイタリア、スペイン、ベルギー、フランスは株のカラ売り禁止措置も取られていますが、この奥の手は他国にも広がる可能性が注視されます。
※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートを抜粋しております。
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