リスクオンの動きが加速2020.05.29

 経済活動の再開は順調に進むという期待を背景に、NY市場は続伸が続き、ダウは2日間で上げ幅が1千ドルを超え、2万5千ドル台を回復してきました。為替はドル円こそ一時108円台に乗せるも、107円台の小動きが続いていますから目立ちませんが、新興国通貨の上昇が非常に力強いです。先般、不安感が台頭して14.61の最安値更新となったトルコリラは、その後V字回復で16円台まで回復しており、メキシコペソも3月初旬の水準まで安値から切り返してきました。アメリカに次ぐ世界第2位の新型コロナ感染者を出しているブラジルレアルでさえ、5月中旬から一本調子で買われています。

 ちょうど先ほど(5/28)豪RBAのロウ総裁が「豪経済は当初の想定ほど深刻な落ち込みにならない」と発言していますが、全世界的に当初の想定に比べて経済の減速の度合いが(今の時点で)深刻ではなかったという雰囲気と、経済政界への期待、そして今回の新型コロナによる経済減速で大きく下げた通貨の価格に値ごろ感が出ているという点が強まっています。

 確かに経済の再開期待は高まっており、下げたところですから上がるしかないというマインドは同じですが、このコロナによって変化した世界の仕組みの色々がこれから表に出てくるということを考えると、このような地合いで選択する通貨は流通量の多い先進国の通貨の方でないとリスキーです。
米中問題は昨年以上の深刻度を増していますし、全人代では香港版「国家安全法」が5月28日にも採択される見通しで、これに対する世界各国の反発も必至です。経済再開期待のマインドから、再び米中問題により不安感の台頭であったり、新型コロナの第二波警戒なども怠れませんから、せっかく下げたからといって資産を脆弱な新興国通貨に集中させるのはリスキーです。

 では、その新興国通貨を見てみると、ブラジルレアルは新型コロナの感染拡大防止へ一段と財源放出せざるを得なくなる状況が懸念されます。トルコリラは経済の脆弱性への不安が強く、その中ではまだメキシコペソが第1QGDPが速報値よりも改定値で上方修正されていていることや、新型コロナの感染者が少ないことが安心材料の1つです。ただし、封鎖措置は他国より遅い3月下旬だったことで、第2QのGDPは減速の見通しですが、これは他国も同様と考えると、新興国の中では比較的買いやすい材料が揃っていると言えるかもしれません。ただ、政策金利は5.50%まで下がっていますから、高金利のうまみ以上に新興国リスクが高い点は十分にご承知おきください。尚、ブラジルレアルの政策金利は3%、トルコリラは8.25%とこちらもひところに比べてかなり低下しています。

 ※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋しております。

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