6月30日、中国全人代の常任理事会において、香港への統制を強化する『香港国家安全維持法』が成立し、香港政府は即日施行しました。これを前にアメリカは中国に対するけん制を強めており、中国企業を米経済から締め出し、香港への特別待遇を終了すると決定するなど苛烈な中国けん制をしていましたが、中国の軍事戦略上考える領土拡大路線として、第一列島線(台湾本土、沖縄含む)の奪取(中国から見たら元々自国領土という考え方)に進んでいるように見えます。コロナ禍でも尖閣諸島海域に中国海警局の船舶が79日連続で出没しており、これは平成24年9月の尖閣諸島国有化以降で最長の記録です。
この中国に最も強い姿勢で対抗してきたのがトランプ米大統領ですが、ここで二選への雲行きも危うくなってきましたし、この米中問題はこれまでとはまた色合いが変わっていったような感じがしてきました。
その中国ではこのところ非常に強い豪雨が続いており、南方エリア、三峡ダム近辺は非常に危険な状況になっているようです。またアフリカでは蝗害(こうがい)と呼ばれる虫の大量発生に頭を抱えています。この農産物を食べつくす虫がさらにふ化して数が何倍にも膨れ上がることが深刻に懸念されており、これは中国でもイナゴの大量発生が観測されていることから、世界の農産物を虫が食べつくすことが懸念されています。穀物を中心とした商品資源の価格には今後大きく影響しそうです。
2020年は新型コロナが発生し、世界をパンデミックに陥れました。天然災害は豪雨に限らず、近年大規模干ばつによる森林火災が乾燥した国々で発生していますし、加えて蝗害ですから、あまり良い流れを感じられません。
こうした中、リスク追いの動きも一服した為替市場は、ドル円は7月1日に一時108円台示現となりましたが、結局は押し戻されています。2日に発表された米6月雇用統計も予想をはるかに上回る好結果となり、前月の数字も上方修正になってにも関わず、結局コロナ感染者の増加や貿易収支の赤字拡大も懸念され、ドルの動意にはなりませんでした。今後のトレンドを見ていくには、新型コロナの感染者が再び増加して経済をどのように停滞させるか、そして米中問題、バイデン当選の場合の金融市場の反応などがトリガーになっていきそうです。
※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。
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