107円前後で張り付いていたドル円がついに動き出しました。7月24日、米中が双方の領事館を閉鎖させるという歴史に残る1つの衝突をきっかけに、全く動きのなかったドル円が円高に傾き、31日には104.25まで続落となりました。104円台は3月13日に以来約4ヵ月半ぶりの水準です。
7月30日午前3時のFOMC向けてドル売りが進んでいましたが、今回は据え置きで変更もなく無風となりました。その後月末リバランスなどでドル売りがもう一段ありましたが、ちょうど104円20銭前後は、週足チャートで見ると春のドルの突っ込み安値の長い下ヒゲをつけたローソク足の実体の部分、2019年年始の突っ込み安値の下限、2018年3月安値水準など、節目になる水準が続いており、一旦下げ止まりやすいところまで下げたのではないかと思われます。
夏は円高になりやすいとよく言われますが、夏の動きは例年、7月に大きく動けば8月はなぎに。7月が動かなければ8月にドラスティックな動きになるなど、7-8月は相反する動きになることが多く見られました。今年は春にコロナショックの大暴落があるような波乱含みの年ですが、そのボラティリティも一旦落ち着き、次の最大の注目ポイントである11月の大統領選挙を控えていますので、再び強く動意が出るのは、スケジュール的には9月のレーバーデー以降かなと思います。
ただ、米中問題は大きく状況が変わりがちなので、今は双方の1領事館を閉鎖させることで落ち着きましたが、次の行動が出てくるとドルが動きだす可能性があります。それは地政学的リスクの発生以上に貿易面です。現在は実戦的な懸念が強まるような「戦争状態」に近づく懸念が発生していて貿易面での米中の攻防は鳴りを潜めていますが、再びここが浮上してくるとドルが大きく動き出す可能性があります。主要国の貿易通貨から人民元が外されるような事態がもしあれば…元から他通貨に替えて輸出入をするとなると、大きな為替手数料負担になりますから中国には何よりも厳しい一太刀になるという見方も。
さて、ユーロドルの方は上値の予想を大きく超え、1.18台まで上伸しました。ドル売りになっていることがさらにユーロ上昇に拍車をかけた形です。ドル売り一服でピッチは緩む可能性もありますが、米中問題の悪化懸念と大統領選挙への波乱を前に、ドルが買われづらい展開が年後半も続くことから、年後半はユーロドルのもう一段の上伸期待も。週足では17年12月につけた7本連続陽線以来の、現在6本連続陽線になっています。
※こちらのコラムは今週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。
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