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今後他国も追従の可能性がある通貨高抑制2020.09.04

 先週、パウエルFRB議長がジャクソンホール会合での講演で長期間にわたり低金利を維持する新しい金融政策指針を示しました。内容自体は予想されたものでしたので、むしろ講演後は材料出尽くしのドル買いが先行して106円台が買われていくような動きになりましたが、週が明けて再び冷静に長期低金利が続くドルを買いづらい展開になり、ユーロドルが続伸。9月1日のNY時間には仕掛け的な動きからついに2018年5月2日以来の1.20突破となりました。その後は利益確定売りなどに押されて値を消していますが、さらに2日の欧州時間にレーンECB専務理事が対ドルの動きについて「ECBは為替レートを目標にしていないがレートは重要な問題」であると、ユーロ高抑制発言をしたことで一旦流れが変わりました。1.20の大台突破の後の抑制発言だけに、一旦高値甥の動きは落ち着くのではないかと思います。

 アメリカは、直近でブレイナードFRB理事が更なる緩和を求める発言をし、NY連銀ウィリアムズ総裁も、先週のパウエルFRB議長の発言を踏襲する内容を発したことで、ドルも買われづらい状況です。

 自国通貨安に実質誘導する流れが強まる中堅調な値動きが続くのがオーストラリアドルです。2日に発表された4-6月GDPは前期比予想▲6.0%に対し▲7.0%、前年比も▲5.3%予想に対して▲6.3%など悪い結果となりましたが、30年ぶりのリセッションになったことで、豪財務相は前倒しで所得減税を実施することなどを言及しており、豪経済下支え姿勢を背景に豪ドルは堅調です。対円では78.45、対ドルでは月足5本連続陽線で買われています。

 7月時点でのRBA総裁発言は「ファンダメンタルズと豪ドルの水準はおおむね合致しており、豪ドルを押し下げるための介入は必要無し」と発言していました。ただし、各国が自国通貨安誘導を強めていますから、このまま景気回復の道委が遠ければ通貨高は大きなウィークポイントになりますから、過去20年の金融政策を見てもRBAがガラリとスタンスを変える可能性は非常に高いと感じます。

 この豪経済の大きな問題が最大の貿易相手国である中国との関係の急速な悪化です。この点についてはこのコラムでも時折指摘してきていますが、直近でも中国は豪食肉会社からの輸入「禁止薬物の検出」として停止、豪州産ワインの調査も開始、さらに豪産大麦に害虫が混入していたとして輸入を一時停止しました。豪出身のジャーナリストの身柄が中国国内で拘束されたこともに報じられており、中国のオーストラリアに対する攻撃が一段と強まっています。アメリカには適度な対応ですが、豪には厳しい対応をする中国ですから更なる関係悪化はまだ0.5%ある政策金利の引き下げを含む次の引き金になる可能性も。

※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。

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