直近ではやや円高傾向になっているドル円相場ですが、この秋はどのような動きになっていくのか少し考えてみたいと思います。
まず、17日早朝に発表されたFOMCですが、現在の金融緩和策の維持が決定されましたが、注目ポイントは今のゼロ金利を2023年末まで見込むという点でしょうか。2023年というとまだまだかなり先のような気がしますが、過去を振り返ると、リーマンショック後の2008年12月に導入されたゼロ金利が解除されたのは、2015年12月で、実に9年もの間ゼロ金利に甘んじたことになりました。その当時も今回同様に「~~年末までは現状を維持」というFOMC発言が何度も聞かれましたが、結局利上げ転換されたのはその当初の見通しのずっと先でした。今回は利上げまで9年もの時間がかかるとは思えませんが、2023年末というのは最低ライン、もう少し長くなる可能性も高いのではないかと思われます。
ちなみに今回のFOMCによる見通しを見ると、2023年10-12月の物価上昇率予想は0.2%とインフレターゲットの2%にははるかに及びません。声明文では「完全雇用の達成や物価上昇率が一時的に2%を超える軌道に乗るまでゼロ金利を維持する」としていますので、現時点ではゼロ金利の長期化は否めません。
反面、今回のFOMCで追加緩和策についての具体的な言及がなされなかったことは米金利上昇の大きな動意になっています。ゼロ金利は続くけれども一段の緩和策は講じる予定がない・・・というところで、まだまだドルの上下いずれかのトレンドが作られていく時期ではないということになりそうですね。
日本では菅政権が発足しました。アベノミクスの継承ということですから、これで10月25日に衆院解散総選挙、自民党圧勝で議席増なんていう2012年の解散総選挙のような弾みがつくようであると、円安には追い風になりそうです。アベノミクスを継承する菅政権の方向性を見ると、円高は好まれない。アメリカはゼロ金利だが追加緩和しないとなると、直近で一時105円割れ示現となりましたが、この104円あたりが下値の止まりやすいポイントになるかもしれません。
※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。
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