年内の追加刺激策に警戒2020.09.25

 欧米では再び新型コロナ感染者が拡大してきており、スペインのマドリードでは21日から通勤通学を除いて外出禁止令が施行されました。フランスも9月に通学が再開して以降1日1万人を超える感染者が確認されており、再び欧州の経済鈍化が懸念されユーロが冴えない動きになっています。同じ欧州の英国も、外相が「2度目のロックダウンの可能性を排除しない」と発言したことが重石で鈍い動きになっています。

 日本も含めて世界はこれから冬本番です。インフルのような見方をすれば、乾燥した冬の時期は一段と感染拡大が懸念されるところですが、その前にすでに感染者が増えていることで、少しずつ戻り始めた経済活動が再び停滞することへの警戒が強まりつつあります。

 こういった地合いですから、中央銀行の金融政策に対して注目度が高まります。軒並み歴史的な超低金利状態に陥っていることは変わりませんが、新型コロナの感染拡大によるロックダウンなどを受けて一斉に金融緩和策を講じた春以降、状況を見守るような状態が続いてきました。しかしここへきて豪NABのエコノミストによると「RBAが10-11月の会合で10bpの追加利下げを実施する可能性がある」と報じられ、年内の追加緩和懸念が拡大しています。

 同様に23日に0.25%の政策金利を据え置いたRBNZも声明の中で年内の追加緩和を示唆しており、値動きは冴えません。政策金利そのものはこれ以上下げる余地が無いのが実情ですから、資産買入枠の拡大など緩和策の拡充が模索され、その可能性がある通貨は買われにくくなっています。英ポンド追加緩和懸念がありますが、こちらはマイナス金利導入の可能性も浮上していることに加えてEUとの離脱協議が難航していることから、まだまだ戻り売りの地合いが続きそうです。ただ、英国が勝手に定めた10月15日の交渉期限が近づいてきますので、このニュースで右往左往される場面があるので注意を。

 こうした地合いのなかでドル円は一時104円割れ目前まで下げましたが持ち直し、現在105円を挟んで小動きになっています。105円を割れると買われやすく、107円以降は頭を押さえられやすいという小動きがもうしばらく続きそうです。

※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。

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