手掛かり材料の無い模様眺めの地合いが強まる為替相場ですが、オセアニアからは少し変化の出るニュースが続いています。
まずはNZ。10月17日に延期された総選挙が実施され、アーダーン首相率いる最大与党の労働党が同国の現行の選挙制度の中で初の単独過半数を獲得する大勝となりました。変化は連立を組んでいたNZファースト党が9議席をすべて失う大敗となり、党首であり同国の副首相も務めたピーターズ氏がその職を失することとなりました。アーダーン首相が産休中には代理を務めるなど政権で要職に就いてましたが、今回はNZファースト党に政治献金がらみの嫌疑があり、政党の独自性(強いナショナリズム)もコロナ禍では鳴りを潜めました。
さて、これから3週間で政権発足となりますが、NZは連立政権に重きを置いているという特性があり、労働党の単独政権にはならない可能性が高いと想定されています。
その政権が発足しているであろう11月11日にはNZの年内最後の金融政策理事会がありますが、オアRBNZ総裁は20日「11月に政策手段を更新する。量的緩和プログラムには十分な余地がある。」と次回の会合で更なる量的緩和に踏み込む可能性を完全に示唆しました。この発言を受けてNZドルの下げは強まっており、緩和を見越してもう一段の下げがあるかと思われます。
続いてオーストラリアです。20日にケントRBA総裁補佐は「政策金利をさらに引き下げる一定の余地がある」と発言しており、こちらもまた現行の0.25%から0.10%への引き下げを示唆する発言と受け取られています。
また豪ニュースで気になるのは中国の強権的な施策です。直近でも綿花や石炭等資源の輸入を停止している等報道が続いています。豪側は中国政府が国内企業にそうした指示を出していると非難していますが、中国は豪に対しては全く手を緩めず、逆に強めている印象。南半球はそろそろ季節が夏に向かう中、新型コロナの感染者も減少してきており、ビクトリア州も規制緩和を加速させる意向であるという報道が出ており経済にはプラスですが、最大の貿易相手国であると中国との関係悪化が輸出にどのぐらいの悪影響を与えるかは注視しておく必要があります。
目先の戻り売りにはNZドルを、まだ触りませんが豪ドルはどのように取り巻く環境が変化していくか見ながら売り買いスタンスを見ていきたいと思います。地合い的には引き続き閑散になりやすく、売られれば買われ、買われれば売られるような小さなボラを追う展開。コロナ、BREXIT、米大統領選(郵便投票で長期化懸念)・・・どれか早く決着を見せてほしいものです。
※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。
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