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新政権発足と政治的なドル安政策の終わり2021.01.22

 21年1月20日、民主党バイデン新政権が誕生しました。先般の議会襲撃事件もあり、ホワイトハウス周辺はすさまじい厳戒態勢でしたが落ち着いて政権移行がなされましたね。財務長官は前FRB議長のイエレン氏、トランプ大統領時代の2018年にわずか1期4年で退任させられてからの見事な米金融中枢返り咲きになりました。

 トランプ大統領が就任した2017年1月以降、ドル円相場は米国ファーストのドル安政策が実質取られてきましたので、低ボラが板に付くほどほどじりじりと緩やかなドル安が続いてきましたが、イエレン新財務長官は「ドルおよびその他の通貨の価値は市場によって決定されるべき」「競争力を高めるための意図的な為替レートの誘導は受け入れられない」とし、ドル安政策を進めない方針をしっかり示しました。為替水準は市場が決めるという根本に立ち返るわけですが、となるとドル安ではないのか?というと・・・目先的にはドル高になる場面もあるかもしれませんが、今後もコロナ禍での財政出動が必要になることを考えると、その面からはドル安材料にもなります。

 いずれにしても(当たり前のことではありますが)あくまで市場が通貨の価値を決めていくわけですが、では米政権を担当する政党によってドル円相場にどのような動きになっていったかをブラックマンデー以降見てみます。81~93年の共和党政権(レーガン、父ブッシュ)時代はプラザ合意を挟みドル安円高に。93~2001年の民主党政権(クリントン)時代は上下しつつもややドル高。01~09年の共和党政権(ブッシュ)はドル安。09~17年の民主党政権(オバマ)は過去最高の円高を記録するも結果はドル高。そして17年~21年の共和党政権(トランプ)時代はややドル安という動きになりました。

 また参考までにイエレン財務長官がFRB議長に就任したのは2014年2月1日で当時のドル円相場は101円を挟んだ小動きのところでしたから、今とほぼ水準が変わりません。ちょうどQEのテーパリングに向かう中でイエレンダッシュボードなんて言葉も生まれて雇用統計の詳細をより注目するような在任期間になりましたが、14年のドル円終値は119円と大きく円安に動いていきました。

 今はコロナ禍という未曽有の危機の中での船出ですが、株価は史上最高値です。ドル円相場は恐らく緩やかなスタートになると想像していますが、経済財政政策によっては今年後半は上下に大きく動く状況になるのではないかとボラティリティの面では期待しています。未だ方向性には手掛かり材料がありませんので、ドル円はノーポジです。

  ※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。

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