昨年の秋以降一本調子の上げを見せてきた株式市場に久しぶりのドスンとした下げが襲来してきました。アメリカでバイデン新政権が発足して目先の大きな材料が通過し、株式市場は高止まりの様相でしたが、ちょっと各所で変化が出来たと思っていたら大きなドスンです。
このリスクオフの地合いでドル円相場は104円台に乗せて高値を切り上げる上昇になっていますが、これはユーロ高へのけん制が大きな要因です。26日、一部通信社の報道内容で「ECBはFRBとの政策の違いが為替レートに当たる影響を調査する」というものがありました。アメリカ経済が強いのにドルが弱すぎるというのがその根底で、ユーロ高に対するけん制が強まってきていることを暗に示唆していましたが、続いて27日にオランダ中銀クノット総裁が「ECBは必要とあればユーロ高に対する手段がある」と明確に明言。またECB当局者談として「市場は利下げ確率を過小評価している」と報道され、いずれもユーロ高に対する大きなけん制になったことで、ユーロ売りドル高の動きが強まっています。ドルは日足の一目均衡表で雲の上限まで上昇してきましたが、ユーロ安誘導は強まったばかりですからもう一段の下げが予想されますので、ドル円の昨年6月以来の雲上抜け示現という動きが出てきそうです。国内ファンダメンタルズとは別因で、目先はドル高に追い風ですね。テクニカル面で気になるのは90日線で上値を抑えられることが多かったのですが、今回も今がちょうど90日線にタッチしているので、これを越えるとこちらも昨年6月以来。
そしてもう1つ気になる動きが中国です。直近の中国の短期金融市場で翌日物加重平均レポ金利が一時2.9930%に上昇して2015年4月1日以来約6年ぶりの行使順となりました。市場関係者の間では、株・不動産市場上昇の鎮静化に向け金融政策の引き締めスタンスに転換したのではないかと注目されています。緩和から引き締めであれば株価には大きなマイナスですから、上海の株価もまた調整の大きな起因となる可能性も。本来なら春節(2021年は2月11日)前に金融調整をしてくるのが常ですが、今年はそれも行われていないことから例年とは違う中国の体制に少し警戒感をもって見ておく必要がありそうです。
対して直近の米FOMCではパウエル議長が量的緩和の継続と長期化を明言し、年内のテーパリング開始の期待を一蹴する内容となりました。その他各国もまだ量的緩和を終了するような見込みは出ていません。
またこのリスクオフの流れを受けて、高止まりだった通貨も押し戻されたりしていますので、ここはいったん利益確定しておきます。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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