ドル円6日続伸2021.02.05

 ドル円相場の続伸が止まりません。2月3日まで6営業日連続で値を上げており、105円台に乗せてきました。これはなぜか?どの理由を付けても後付けになるぐらい、これまで数カ月104円を挟んで小動きだった相場が反転してきています。ドル安政策を進めてきたトランプ大統領が退任したことや、イエレン前FRB議長が財務長官に就任したこと、ユーロがユーロ高是正にかじを切っていることなどを受けて、これまでドル売りだった材料であってもすべてドルを買う材料になっているように解説されています。つくづく教科書では相場は語れませんね。

 チャート面からは、前号でも取り上げましたが、ドル円は90日線を昨年6月以来の上抜けとなりました。ただ200日線がちょうど105.50前後の水準にあるため、上値を抑える大きな圧力になりそうです。104円台後半は買い妙味も。

 さて、今年に入ってから、次期尚早に感じますが「テーパリング」という言葉が取りざたされるようになりました。量的緩和を段階的に縮小していくことを示すのがテーパリングですが、前回この言葉が為替相場の大きなテーマになっていたのは、リーマンショックや欧州債務危機で先進各国で大規模な量的緩和が行われた後です。その時代にECB総裁を務めていたマリオ・ドラギ氏が、昨今のイタリアの連立政権崩壊の中で、大統領より後継首相候補として指名されました。中道左派の民主党レンツィ元首相や中道右派のフォルツァイタリア、ベルルスコーニ元首相はドラギ首相を支持していますが、議会最大勢力となっているポピュリズム政党である五つ星運動は否定的です。これから連立樹立となっていけるか、荒れるようだとユーロ売り材料として捉えられる可能性に注意です。

 このテーパリングですが、3日にNZが公表した10-12月の失業率が前回の5.3%から4.9%と想定以上の回復を見せたことで、早期引き締め観測(つまりテーパリング)期待が浮上してきています。今の段階で中銀が出口戦略について明示するのは通貨高も煽ることになるのでしないと思われますが、期待でNZドルは買いが集まり、現在75.86迄上昇してきました。80円近くになると、一度当局から通貨高是正が出てくるのではないかと思われますが、対ドルなどでは共に強い通貨のため落ち着いた動きになっていることから、今しばらく上昇を追いかけられそうです。NZの今年初の中銀会合は2月24日です。

  ※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。

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