今週は相場にネガティブな材料が散見されました。
まず改めて投資家の信頼を失墜させたのがトルコです。エルドアン大統領は20日、アーバル中銀総裁を更迭する人事を発表し市場を驚かせました。アーバル中銀総裁は、昨年11月に更迭された中銀総裁の後任として金融政策を担ってきました。更迭の理由としてはこれまでの繰り返しになりますが、中銀のインフレ抑制に対する利上げスタンスが「気に入らなかった」という風に判断されています。2年で3回目、いずれも利上げを断固として嫌うエルドアンによる制裁人事であり、これによってトルコリラは大きく窓を開けて急落しています。このリラ売り抑制の為か、今週は短期金利をいじっていると思われる変動もあり、重ねて金融市場からの信頼を大きく損ねる行動が続きます。残念ですが、再び金融情勢を無視した利下げが行われることや、強権政治に振り回されることが確認されましたので、史上最安値の深堀も懸念しトルコリラを保有されている方は手仕舞われることをお勧めします。
そしてもう1つ、3月18日発行のレポートで豪の住宅市場がひっ迫していて住宅抑制策を打ち出す可能性があることを示唆しましたが、先陣を切ってNZが23日、住宅抑制策を打ち出しました。住宅建設のための基金を38億NZD規模で創設することや、キャピタルゲイン税免除の投資不動産保有期間を5年から10年に延長すること、給付金や融資の対象となる年収の上限を引き上げるなど、不動産投資の抑制を筆頭に強力な内容を打ち出しました。NZドルは対円で一時79円台まで上昇していましたが、75円台まで大きく値を消しています。
そして欧州は再びコロナ感染の拡大が深刻な数字になっており、各地で外出禁止等のロックダウン規制が長引いていることも経済の重石になっています。為替相場はドルの一強、ユーロドルは昨年5月以来の200日線下抜けとなり、クロスカレンシーは調整の雰囲気が濃かったですが、下げ一服になってきました。この地合いのなかどの通貨を買うかとなると、結局強いドルの押し目を引き続き狙うしかありません。
アメリカはバイデン大統領が、先日さらに最大3兆ドル規模のインフラ投資計画である長期経済プログラムを検討していると報じられました。まだプランの段階で財政計画も見えませんが、こうした経済底上げスタンスも今はドルを下支えする大きな要素にはなっていそうです。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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