ドル円相場が連日急激に値上がりしてきており、3月31日には昨年3月26日以来となる110.96迄上昇しました。111円台乗せ目前です。約1年ぶりの水準ですが、国内の個人投資家の動向は1年ぶりにドル売りポジションに傾き、高値の水準で逆張りのドルショートを狙う向きが強いような様相です。この個人の動きが当たるのか、裏目に出るのか分かりませんが、他国の弱さに対してアメリカは31日の引け後にバイデン大統領が約2兆ドルのインフラ中心の成長戦略を打ち出すなど、経済テコ入れが非常に強い状況です。対して欧州ではフランスが再びコロナ感染拡大防止の最後の切り札ともいえる学校閉鎖を決定し、ロックダウンが強化されます。ドイツも封鎖が長期化していることで政権不信が高まっていることなどから、経済戦略を打ち出すアメリカへのリスクオンが依然として強まっていきそうな面は否めません。
米10年債利回りは直近で1.77%まで上昇してきました。これも大きなドル上昇要素ですが、利回りが上昇しても米株は大した反応を見せません。つい先ごろまでは利回り上昇=株売りという構図で反応していましたが、耐性が出来たのか悪材料となり得なくなってきています。さらに日本円の売り材料として、日立が大型の米IT企業買収を発表しました。総額1兆円規模ですから、当然これは買収資金のためのドル買い円売り要素になります。
さて、逆にコロナを前提に不安材料が続くユーロは対ドルで1.17迄下落してきて、日足で200日線と21日線がデッドクロスしました。こんなにきれいなデッドクロスは2018年5月17日以来です。昨年12月に月足で2011年以来のしっかりとした雲抜けをしたばかりでしたが、今度は雲の上限1.15あたりで下値を支えられるか。ドルの強さ、ユーロの弱さがはっきり出ています。
こうしたファンダメンタルズ面とテクニカル面を見るとドルが下げたら押し目買い方針かと考えます。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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