先週当コラムで書いた雰囲気から一気に真逆に振れ、ドル円、クロス円の調整色強まってきました。と言っても、ドル円自体は21日線の手前で一旦落ち着きました。まだショートには早いかなと思います。ただ、その他クロス円を見るとこれまで堅調だったオセアニア通貨のチャートがいずれも対円で嫌な形になってきました。NZドルは21日線を割り込み、日足の雲の上限を下に抜けて雲入りの動きです。昨年11月に雲抜けして以降の変化となっており、豪ドルも同じく21日線割れ。NZは堅調な経済回復とコロナの抑制が取れており、豪州は住宅価格上昇の懸念はあるものの、本年度(20年7月~21年6月)に資源、エネルギー輸出額が過去最高の2960億豪ドル(約24兆8千億円)に達する見込みであることを公表する等、中国との関係悪化の中でも鉄鉱石価格の上昇を背景に輸出全般が非常に堅調であることを示しています。こうした中ですから良い押し目になるかもしれませんが、目先の動きは鈍くなってきました。
対して堅調なのがユーロです。4月7日、クノット・オランダ中銀総裁は欧州経済が見込み通りに回復していけばPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)を第3Qから徐々に縮小できるという方針を示しテーパリング期待が浮上していますが、先月は他の専務理事がPEPPを通じた債券購入額は今後着実に増加すると発言していたような…ややチグハグな印象です。ただ、ユーロ円を見ると堅調な動きで高止まりしていますので、ユーロが買われるというよりも、目先はドルが売られているという印象でしょうか。ちょっと実体と相場が乖離しているような印象で、手出しづらく様子見で行きたいと思います。
さて、直近で株式市場を賑わせている英投資ファンドCVCキャピタルパートナーズによる東芝の買収提案ですが、この規模が2兆円という大きなもの。実現すれば2兆円規模ですから、ポンド売り円買いに大きなフローが出そうです。
英ポンドがらみの大型M&Aというと、ソフトバンクが英ARMを3.3兆円で買収した2016年7月が思い出されます。この時は円売りポンド買いフローがその数週間前から出ていました。ポンド円は直近で4月6日に153.42の高値を付けてから反落して21日線を割り込んできました。EUを完全離脱して以降堅調な右上がりの高値圏でちょっと調整です。東芝のニュースは株価と合わせて是非ポンド円の動きも見ていってください。これだけで為替の動きが確定できるわけではありませんが、フローが出てくるようだと妙味があります。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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