米財務省は1年に2回、4月と12月に為替報告書を公表します。この為替報告書とは、米国の為替政策を分析するための材料としているものですが、米国の貿易相手国(つまり世界の多くの国々)にとっては、自国通貨に対して米国がどのように捉えているかを踏まえる大きな材料の1つとなります。ここで一番注目されるのは「為替操作国」というワードです。
昨年12月16日にこう評されたトランプ政権による最後の為替報告書では、スイスとベトナムが「為替操作国」に認定されました。(日本や中国は長らく「監視対象国」という一段下の位置でチェックされています。)為替操作国を認定する条件として①大幅な貿易黒字(物品の貿易黒字額が年間200億ドル以上)、②実質的な経常収支黒字(GDP比2%以上)、③持続的で一方的な為替介入という3つの基準を設定しており、スイスとベトナムは2020年6月までの4四半期でこれらに該当する行為があったということでした。尚、この時スイス中銀は為替操作国認定を全く意に介さず、これからもスイスフラン高騰を抑えるための介入を実施し続けると宣言したぐらいでしたが、実際には今年に入って介入量が減っているため、操作国認定から一段下がった日本同様の監視対象になるかもしれません。
表向きは意に介さないけれども、結局はあまりアメリカと喧嘩はしたくないというのは感じられますよね。これはいつ対象になってもおかしくないアジア地域の諸国全般も同様だと思います。
先般、イエレン財務長官が「今回中国は為替操作国に認定しない方針」であるということを発していたと報じられていますので、中国の認定懸念はありませんが、アジア地域のその他の多くの国々は引き続き懸念されます。一応念頭に。
さて、あまり明るい話題が少ないですが、来週19日からオセアニア両国の間では隔離措置の無い往来が再開されます。特に観光が大きな産業であるNZにとっては経済活動の押し上げに大いにプラス材料です。現在、対円では77円で下げ止まっていますので、再度21日線を上抜けてくるようなテクニカル変化を待ちたいところです。
ただし、もう日本にとっては5月の連休が近づいてきました。日本だけが休場する特殊な5月連休、何か変化があるというと5月に入って連休後半に差し掛かることが多い印象ですから、あまり無理したポジション取りは注意していきましょう。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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