先週末発表された米4月の雇用統計は、予想を遥かに下回るネガティブサプライズとなり一時的にドルが売られる展開となりました。NFPは予想+97.8万人に対し+26.6万人、失業率も予想5.8%に対し6.1%といずれも厳しい結果となりました。それにしても、各社ともに100万人前後の非農業部門雇用者(NFP)を予想していたのに対し、結果がその4分の1という大幅な乖離は想像の範囲を超えていました。またこれだけの下振れは過去最高を記録です。ただその割には下げは限定的でしたが、給付金というコロナ禍特有の背景があるようです。
そして週が明けるとコロナ問題で各国悲喜こもごもの動きになっています。まずポジティブの筆頭はイギリスです。先週末のスコットランドの選挙で独立派が勝利したことから、ふたたび英国離脱の国民投票が実施される可能性が濃厚になったことはマイナス材料でしたが、それ以上に喜ばしいのがワクチン接種の進捗状況とそれによりコロナ感染者の大幅減少を受けて、17日から規制を大きく緩和することが報じられポンド全面高です。
同じく欧州ではスペインが昨年10月以来続いてきた非常事態宣言を解除しましたし、仏マクロン大統領は6月末に向けて段階的に封鎖を解除していく方針を示しました。こうしたコロナ対策を受けてユーロも堅調な動きになっています。
アジアでは台湾北東部で11日、7人の新規感染者が確認されましたが、そのうち6人が感染経路不明であることに懸念が高まっています。同国で感染経路不明の感染者が確認されたのはおおよそ1年ぶりということもあり、同国政府は再びコロナ対策を強化する可能性があることを示唆しました。これを受けて12日の台湾加権指数は一時8%もの強烈な株価急落となりました。今では世界最大の半導体製造国ですからこの国の経済が一時的に止まるようだと、にわかに漂うリスクオフムードがさらに高まる懸念がありますね。
こうした中で12日に発表されたアメリカの4月CPIは前年比予想+3.6%に対し、+4.2%と大幅上昇でインフレ高懸念が株価を強く下押ししドルを引き上げる動きになりました。ドルが一時的に下がるところは押し目になると確認されたような上昇です。緩和の終わりを意識させることから米株は大きく売り込まれました。
クラリダFRB副議長は「インフレ上昇が一過性でなければ抑制する」と発言しています。現実にインフレ高が加速するようだと、FRBも意に反して行動する必要が出てくるため、6月のFOMCでテーパリングへの言及、もしくは8月のジャクソンホール会合辺りで本格的な検討をするのでは?という予想を市場が現実的に意識するCPI指標結果になりました。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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