今般はワクチン接種率に準じて各国の株式市場が上下する地合いが続いていますが、為替市場はコロナ禍の緊急経済対策からの脱却が大きな注目点です。緊急の経済対策の出口戦略をどのように進めていくのか?その最たるものがテーパリングであり、量的緩和の段階的な終了というのは株式市場の堅調さに水を差すものでもあるから時期や規模の調整が非常に重要です。(そうした調整をすべて吹っ飛ばして公言しないテーパリングを始めている中銀もありますが…)
まずは先日、カナダ中銀がテーパリングを決定して先陣を切りましたので、他国はどのようにメッセージを打ち出していくか、中銀会合への注目が日に日に強まりつつあります。
その中でNZが26日の金融政策会合にて「2022年後半(9月)の金利上昇」を示唆する声明を出したことで、NZドルが大きく買われました。量的緩和の規模は据え置いていますからテーパリングを始めたわけではありませんが、後1年数カ月後には利上げをするという見通しを出しているわけですので、テーパリングを打ち出す前に現状の金融政策の脱却時期を見通したことが好感されました。
またこのNZは前日にもコロナ禍の緊急事態である昨年に導入した外国投資規制を来月撤廃すると表明しました。新型コロナで影響を受けた企業資産の投げ売りを防ぐために講じられた措置ですが、想定以上に早いスピードで経済が回復していることを踏まえて、撤廃されることが決まりました。こうした日米であれば株式市場が嫌気しそうなニュースが相次いでも、NZの株式市場は堅調な動きになっており、健全な経済回復を示しています。
また昨年末の当コラムで取り上げた通貨である南アフリカランドが堅調に上昇しています。昨年末時点でのランド円は7.1円の水準、年始は南アフリカに新型コロナの変異種が発生・拡大したことで6.6円まで下落しましたが、その後は資源価格の上昇を追い風に堅調な動きとなり、2019年12月の直近高値7.8円を上に突破し直近で7.9円を付けて、2019年4月以来2年1ヵ月ぶりの上昇となっています。また中銀総裁がインフレが続くようであれば利上げも躊躇しないと発言しており、利上げ観測も追い風になっています。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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