先週末に出た米FOMCメンバーによる利上げタカ派の発言を受け、金融市場は全面リスクオフで今週がスタートしました。同日にはゴリゴリハト派のメンバーの利上げ2023年まで否定するような発言も出ているのですが、すでに経済が堅調であることは明らかであり、現状維持を示すハト派よりも、タカ派の傾向によりシビアに市場が反応するような地合いになってきました。今後もこうした要人発言に左右される相場地合いはしばらく続きやすくなりますが、少なくとも米経済の堅調さを示す内容であることから、ドル円には追い風です。
6月23日のNY時間には、3月末につけた110.96の直近高値を抜いて、11.10迄上昇し年初来高値を更新しました。4月後半からの日足チャートを見ると、右上がりに高値・安値を切り上げて上昇しています。ボラティリティの高い通貨ではありませんが、これに加えて早期利上げ期待が強まるとなると、押し目は丁寧に拾って少し長いトレンドを追いかけていきたいと考えます。
さてこのFOMCですが、直近のパウエル議長の発言を聞いてみても、経済に対する力強い自信を感じます。ただ、利上げやテーパリングについて非常に思惑が出やすく、あまり事前に方向性を示すヒントを出すとは思えません。ハッキリ打ち出すとしたら、早くても8月26日から3日間開催されるジャクソンホール会合というのが現状の想定です。
その他の通貨では豪ドルを取り巻く環境が気になります。先週の当コラムでも取り上げましたように、7月のRBA会合の行方が気になるところですが、加えて資源国通貨の豪ドルにネガティブなのが、中国の商品価格の規制です。
中国国家発展改革委員会は先週、石炭価格の調査を開始すると発表し、今週はその調査にさらに鉄鉱石スポット市場を追加しました。大連取引所の鉄鉱石先物は大幅続落し、9月物は一時5%を超える下落を記録する日もあるなど、コモディティ価格が非常に不安定な状況になっています。資源国通貨の代表格である豪ドルには売り圧力が強まっており、日足チャートで今週の動きを他通貨ペアと見比べると戻りが最も弱いことが伺えます。押し目買い目線になりがちですが、資源価格に中国当局がゴリゴリに介入してきている今は、中豪の関係悪化も考え合わせると重い動きがもうしばらく懸念されます。まだしばらく手出しは控えて、他通貨に目を向けていきましょう。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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