米欧をはじめ、日本でも新型コロナのワクチン接種が進んできている一方で、インドの変異種デルタ株の感染拡大が猛スピードで進んでいます。ちょうど半年前の年末年始は、アフリカ系の変異株が猛威を振るいだしていた頃でしたね。再び変異種がさらにパワーアップして出てきているので、もうしばらくこの拡大と防止を繰り返して行くことになるのでしょう。そのたびにその材料がスルーされることも有れば、大きな売買材料として取り上げられることもあるのが金融市場です。
来週RBA会合を控える豪州は27日、デルタ株の感染急拡大でシドニーを中心に2週間の再ロックダウンとしました。隣国NZは豪州との行き来を自由に再開していましたが、その措置をストップするなど更なる感染拡大に警戒が強まっています。豪ドル円は日足チャートでは右下がりの21日線が上値を抑える形で下げ基調になっている中で、週末の米雇用統計や、ハト派懸念が強まっているRBA会合を控え、基調はしばらく右下がりか。来週の会合では1000億豪ドル(約8兆4400億円)規模の資産購入プログラム第2弾が9月に終了した後の将来的な債券買い入れについて検討すると以前表明しており、会合終了後の15時(日本時間)からはロウ総裁の会見も予定されていますので、今は特に警戒感で買いづらい地合いとも言えます。
そして豪ドルにもう1つ注意点が。今年3月25日発行の当レポートコラムでも、豪の住宅市場がひっ迫しており抑制策を打ち出す可能性があるということを書いておきました。実際に今年に入ってから豪州の住宅価格は年率25%以上上昇しています。これについて直近でモルガンスタンレーが住宅市場のリスクに関する豪規制当局のメッセージが変化してきており、政策介入(返済負担率の制限など)への道が早まる可能性があるとしています。住宅市場に冷や水となりそうですので、この点も豪ドルにはマイナス要因になり得ます。
その点、買いチャンスをうかがうならNZドルと見ています。銀行大手ANZは早ければ年内に利上げ実施の可能性もあるというような強い見通しを示唆しましたが、直近は全体的な調整感に引っ張られてあまり買われていません。月足で8本連続陽線で上昇した後の一服場面ですが、経済回復のピッチや利上げ示唆というプラス材料を背景に買い場探しの目線と見ています。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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